ありのままの子どもをしっかり受け入れる声かけを
――3つのツールで子ども自ら遊ぶようになるためには、置いておくだけではなくて親の働きかけも重要なんですよね。
小川:だから本を親御さんに読んでほしくて、随所に親御さんへのメッセージを入れました。
やらせなきゃいけないとか、子どもが興味をもったら親が教えなきゃいけないとか、「~せねばならない、~しなければだめだ」という思い込みをとにかくはずしてほしいなと。
子どもの成長は親にかかってるってよく言われるんですけど、実際にはそれは誇張で。
子どもの成長は子どもにかかってるんですよね。
親は子どもが勝手に育とうとしてるのを手助けして、よりうまく育つように力を貸すことはできるけど、子どもが育つかどうかは親次第っていうのは極論です。
――本書でも触れられていますが、子どもへの声かけのコツはありますか?
小川:最近のいろんなところに流れてるメッセージを過敏に受けてる親御さんは、間違ったことは言わないほうがいいんじゃないかとか、自分が言うよりも先生にお願いしたほうがいいんじゃないかとか、調べてから言おうとか、ハードルを自分で勝手にあげてしまって結果として無責任に子どもに発言するってことができなくなってしまっています。
でも子どもは別に正解を求めてないんですよ。
「ママこれ何?」って聞いたときに、ちゃんと相手をしてくれるかどうかしか気にしてないんです。正解はほしがってないんですよ。
聞いたときに「わかんない」って答えられたら「嫌い」ってとってしまうんですよ。
――「拒絶された!」と思ってしまうんですね。
小川:そうそう。正しい、正しくないっていうのは子どもにはあまり重要じゃないんですね。おもしろいかおもしろくないかと、自分のことが好きかそうでないかとか、そのくらいしか興味がないんですよ。
なぜってことに対して学術的に正しいことを言う必要はまったくないんですよね。もしかしたらこうかなあって勝手な想像でもいいんです。聞かれたからあなたに答えようとしてるんだ、っていうことさえ伝われば。
それと、声かけの最大のポイントは子どもの様子をよく見るっていうことです。自分のなかにある、こうあってほしいっていう勝手な押し付けではなくて、ありのままの子どもを見る。
うちの子はいつも明るく天真爛漫でいてほしい、ではなく、実際に目の前にある事実をそのまま受け入れていく。受け入れたことに単に言葉をそえていけば声かけになるので。
しんどそうにしてたら、「ちょっと苦手なのかな、どうしたの」って聞けばいいし、楽しそうにしてたら「得意なんだね」って言ってあげたらいいですよね。
――そのくらいならできそうかな、と思えます。
小川:でもその声かけは赤の他人には難しくて、実際に目の前で見てる人だけが言える声かけですよね。だから価値があるんです。
ありのままを見ようってことだけ心がけていただければ。
こうでなければならない、とか、正しいのは何かとか、そこでしばられてしまうと目の前の子どもの姿を見られなくなるので。
折に触れて、自分がそこに陥っていないかの点検は必要になりますね。
基本的にこの子は自分で育つんだってことを信頼した上で、どんなふうに育つのか見ていたいなあ、見たことは口にしたいなあっていうことです。
幼児期のときはわりとみなさんできるんですけど、幼稚園に入って人と比べられて、小学校に入って宿題が出てくるとできたできないのタスクの感覚に陥っていく自分がいて、子どもから学ぶって感覚を忘れやすいんですよね。
そうなってしまいがちだっていうことは覚えておくといいですね。
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子どもが自ら学ぶ力をつけられる3つのツールをいつでも手にとりやすいリビングに起き、共に楽しみながら適切なタイミングで声かけをすること。
それだけで、子どもの地頭が鍛えられるなんてうれしいですよね。
『頭いい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』には、さらに詳しい説明と、おすすめの辞書、地図、図鑑も多数紹介されています。
この“3種の神器”ともいえるツールを今すぐ子どものそばに揃えよう!と思い立ったら、ぜひ本書を参考にしてみてください。