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山本:作画はもちろん、光や色など撮影部分のフィルムメイクに対する技術もすごく高くて、それらを全部活かした作品ってなかなかないと思いますけど、(村瀬さんが監督した)『Ergo Proxy』はフィルムとしてすごくよかったのですが、それに匹敵するくらい村瀬さんの能力が発揮された作品になったんじゃないかなと思います。

――原作の雰囲気ともマッチングしていますよね。

山本:村瀬さんは各工程に対しての要求値が高すぎするので、それに全面的にこたえられる作品制作はなかなか難しくて大変なんですが(苦笑)

――本作はキャラクターデザインも村瀬さんがされているのですか?

山本:原案としてはredjuiceさんがいますが、最終的な落とし込みは村瀬さんがやって、恩田尚之さんなど何人か凄腕のアニメーターさんが一緒にやってくれています。クレジットを見ると人数がたくさんいるのでわかると思いますが、苦労もありました。

――苦労を乗り越えて制作されているんですね。キャストの方々のアフレコは制作が中断する前に撮られていたんですよね。

山本:そうですね、そこはやり直していないです。

――キャスティングでこだわったところや、クラヴィス役の中村悠一さんを始めとする声優の方々の印象などをお聞かせ頂けますか?

山本:いつも驚くのは声優さんの技術の高さと、読解力の高さですね。特にアフレコのときは(映像が完成していなくて)真っ白なので、本当にすごいなと思うんですよね。

フォトギャラリー【撮り下ろし写真をもっと見る】インタビューは時おり笑いも起きる、和やかな雰囲気で行われました!
  • ©小林裕和
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僕はプロデューサーとして物語のアウトラインの把握はしていたし、監督がリテイクしているときの意図についてわかる部分もありましたが、ただでさえ難解な話なので、どこにチューニングを合わせるかという軸をすごく手探りしてやっていったんだろうなと思います。本当に、声優さんによって成り立っている作品っていっぱいあるなと思いますね。

――今回も主題歌はEGOISTさんが歌われていますが、そのあたりも山本さんが選出されているんですか?

山本:僕はEGOISTさんの関わっているアニメ作品は『ギルティクラウン』から『甲鉄城のカバネリ』まで全部やっています。時代のトレンドと硬質なかたちの融合が象徴的に行われていると思っているので、毎回頼んでいますね。

失われてしまった、3作連続で出す「意義」

――現在の制作状況についてお伺いします。昨年12月15日に行われた「ノイタミナプロジェクト発表会2017」で冲方丁さんたちがご覧になって、「あとは絵がつくだけ」といった話が出たと思うのですが。

山本:あれからはだいぶ進んでいますけど、まだ(1月16日時点)完成はしていないですね。

――2月3日までには完成しますよね……?

山本:もちろんもちろん。アニメはリテイクしてなんぼなので、キリがないですけど、どんどん良くなっていると思いますよ。『東京国際映画祭』の『TIFF アニ!!』で上映されたものは冒頭15分だけ見るのに見やすい形で落としたカットもあるので、カットしたところが追加されたりするものもあります。

――今回アニメーション映画『虐殺器官』が完成すれば、伊藤計劃さんが残した3作すべてが劇場映画化されますが、3作を手がけてみての心境はいかがですか?

山本:3作連続して出していく意義のようなものは『虐殺器官』の制作中断によって失われてしまったところがあるので、完成させて初めてその辺も語れるのかなと思います。