6カ月の子に蜂蜜をジュースに混ぜて与え「乳児ボツリヌス症」で死亡するという痛ましい事故が起きました。

あらためて、赤ちゃんに与えていい食品とは何なのか、不安に感じたお母さんも多いのでは。

離乳食を進めるうえで避けたい食べ物、注意しながら与えてもよい食品などについて、大学や専門学校で講師をされている管理栄養士の太田百合子先生にお聞きしました。

ボツリヌス菌で注意したいのは、はちみつと井戸水

太田百合子先生(以下、太田)「離乳食は特殊なもの。学校でも習うことがないから、子育てする前は知らないことばかりですよね。でも、気をつけるべきことはたくさんあるんです。

1歳までは内臓機能が未発達なので、はちみつで乳児ボツリヌス症になりやすいということは、子どもに関わる人には常識といえることです。

はちみつは健康食品だからと、普段からお砂糖代わりにはちみつを利用される方も多い。それで私たちも重々注意していたのですが、実際に事故が起きてしまって、このように誤解がありうることはとても残念です。

乳児ボツリヌス症予防には、はちみつや井戸水はボツリヌス菌の増殖による汚染の可能性があるので、感染に対する抵抗力が低い1歳までは使用してはいけません」

果汁や清涼飲料水は、普段は特に与える必要はない

太田「もう1つ気になったのが、ジュースです。過去には、離乳食の準備とする味慣らしとして、薄めた果汁を飲ませるように指導をしていました。

ところが、赤ちゃんが泣くたびにジュースを与えすぎて、母乳やミルクの飲む量が減ってしまい、栄養不足や発育障害を招きやすいことが言われるようになりました。

赤ちゃんの便秘解消のために一時的に果汁を飲ませることはかまいませんが、栄養の中心は母乳・ミルク、離乳食。与えてはいけない訳ではありませんが、ジュースはあえて与える必要はないというのが現在の考え方です。

イオン飲料(スポーツドリンク)も、身体に良いと思って水代わりに飲ませていると、飲まなくてはいられない状態になり、結果として離乳食を食べなくなる。日常的に飲ませていると、微量栄養素が不足してしまいます。

また、歯が生えていればむし歯の原因になり、糖分が多いため肥満になったりもします。

これは熱が出た時や下痢などの時の『脱水症予防の時だけ』としています。飲料の与え方には気をつけたいですね」

1歳前に牛乳を勧めなくなった理由

太田「それから、牛乳です。かつては『牛乳貧血』という言葉もありました。過去には10カ月頃になると、断乳し離乳食中心に切り替えるように勧めていました。

1歳近くなると母乳やミルクから、牛乳に切り替えて飲ませるようになっていたわけです。

でも牛乳には鉄分がほとんど含まれていないことと、アレルギーの一つですが腸から出血を起こす(消化管出血)こと、カルシウムとリンが多く含まれ腸からの鉄の吸収も妨げるため、貧血を起こしやすくなっていました。

現在では1歳前に牛乳を飲ませないように指導しているので貧血を防いでいます。もちろん、離乳食作りの材料としては少量ですから、ミルク味として使用してもかまいません。