子どもが描いたママの絵、顔が大きく首がない絵だったとしても「ママの顔こんなんじゃない!」と叱る親はいませんよね。

でも、筆順がメチャクチャで字形が乱れている字を書くとつい、直したくなります。これで「絵を描くことは好き、字を書くことは嫌い」になってしまうのです。

1人でできる子になる 「テキトー母さん流」 子育てのコツ』の著者の立石美津子がお話します。

お絵描きが好きな子ども…けれども、周りの大人の対応によって「文字の練習は苦痛なもの、お絵描きが楽しい活動」と捉えてしまっている子もいます。

どうしてなのでしょうか。

お化けのような絵

「ママの絵描いた」と子どもが嬉しそうに見せた絵。異常に顔が大きいです。しかも、顔面からいきなり胴体、手足が出ています。横には小さなパパの絵が豆粒みたいにひっそりと描かれています。

でも…。「ママはそんなに顔は大きくないわよ。小顔よ」とか「首がない変な絵ね!」とか「ママが強いから大きく書いたのね。でもパパの方が力があるのよ」注意することはおそらくないでしょう。

髪の毛がチリチリパーマ、アイシャドーは真っ青、口紅は赤いクレヨンでグルグル塗り。でも、でも「なにこれ?ママはこんな派手な化粧していないでしょ!」と叱ることもないでしょう。

子どもは「まあ、ママの絵を描いてくれたのね。嬉しいわ。上手ね」と褒められるので嬉しくなります。ダメ出しされないので描く意欲は削がれることなく、「もっと描いてみたい」となります。そうするうちに、だんだんと絵らしくなってきます。

お化けのような文字

ところが…文字となると態度を豹変させてしまうママがいます。

筆順はめちゃくちゃで、“止め・跳ね・払い”なんか無視して、下から上に書いたり(*筆順の原則は“上から下”なので、つい一こと言いたくなる)塗り絵みたいに塗ったり、なんて読むか判別不可能なお化けのような字だったりすると…。

「その順番違うでしょ。ここから書くの!」とか「なんて読むかわからない。もっと練習しないとダメよ」と叱ります。次第に字を書くことが嫌いになります。

元は同じ表現活動だった

絵を描くことも、文字を書くことも子どもにとっては同じ表現活動なのです。

ところが!親や幼稚園、保育園の先生が「絵はお遊びだけど、文字や数字はお勉強」と分けて考えてしまうと、大人の態度も「絵だと直さないけれども、文字だと注意したり、直したりする」となっていきます。

子ども側も周りの大人の対応により、「どんな絵を描いても叱られないからもっと描きたい。でも、字を書くと先生や親はいちいち『違うわよ。ここはこう書かないとダメなのよ』と直したり怒ったりするので、「もう書くのは止めよう」という気持ちになっていきます。

こうして、子どもの心の中で次第に「字を書くことは嫌なお勉強だ」となっていきます。

間違った字を書いたとき、どうすれば良いか

字には筆順があります。正しい字形もあります。

子どもがおかしな書き方をしていたら、ほっとくわけにはいかなくなってしまいます。「間違った字を覚えてしまったら大変だ!」と思うからです。