Ⓒあべゆみこ

まず書いている行為を誉める

大人から見てどんなに不満な文字でもまず「一生懸命書いたのね。上手ね」と褒めてやりましょう。

もちろん文字には“上から下、左から右”の筆順の原則があります。どこかで教えなくてはなりません。そんな時は「その順番じゃあダメ!」のような否定的な言い方ではなく「今度は上から下に書いてみよう」と肯定的に伝えましょう。

赤ペンは使わない

まるで虫眼鏡でチェックしているのか、熱心に赤ペンで直す添削先生がいます。

でも、赤ペンで添削するなんてもってのほか。出来てない文字をネチネチ叱るのではなく、一番マシな字を見つけてうんと誉めてあげてください。

筆者は今まで多くの子ども達に指導していて、添削をして「こんなに間違えたんだ。今度は直されないように注意して書こう」と奮い立つ子どもには一人も出会ったことがありません。大抵、嫌な顔をしてそれ以降やる気を失くします。

乱れた文字の中でも一番マシな文字を選んで○をしてあげましょう。間違っている文字は無視して唯一できている“ほ”だけを取り上げるのです。

そして「わあ、この“ほ”突き出さないで上手に書けたね」と、何故この字が良いのか具体的に言葉をかけて褒めるのです。すると「今度はもっと花丸をたくさんもらおう」と正しい字を喜んで練習するようになります。

赤は攻撃的な色ですから、丸も赤ではなく色んな色を使って綺麗に囲ってあげましょう。

消しゴムも使わせない

更に消しゴムを使わせる行為は「あなたの文字は間違っていますよ。だから、書直しなさい」と書いたものを否定していることになります。

もし、書直しさせたければ新しいページや枠に書かせればよいのです。その直前に書いた文字との比較も出来て「ああ、さっきよりもマシな字が書けたな」となり少しばかりの進歩に満足し、やる気が出ます。

学習と勉強の違い

机に向かっている姿は同じでも似て非なるもの、心の在り方は全く違います。

“学習”は“学”と“習”。“学んで習って身に付ける”こと。“習”の漢字の成り立ちは鳥が百回羽をバタバタさせて技を取得する由来があります。

“勉強”は“勉”と“強”。“強く、勉(つと)める=無理して行なう”こと。つらい試練の意味で使われます。

例えばお客に無理難題言われ値段を下げるとき「勉強しておきまっせ」と言ったり、人から注意されて「勉強になりました。以後、気を付けます」と言ったりします。

でも、子どもにとっては勉強の意識はなく、なんでも学習なのです。

「かきたい」という子どもの意欲の芽を潰さないようにしましょうね。