高校家庭科で行われる「投資信託」の授業内容とは

それでは、実際に2020年から行われる家庭科での「投資信託」の授業内容はどのような事を教えるのでしょうか。

授業内容の詳細はまだ決まっていませんが、どのような内容になりそうか、授業で何か期待されているかついて考えてみました。

家庭科の金融教育に求められる役割の1つとして、セーフティーネットを兼ねた金融の基礎知識の浸透です。

基礎知識があれば、最近増えている若年層の金融トラブル(投資で儲けるための悪徳な情報商材ビジネス・高額の配当金が受け取れる等を謳う架空の投資話など)に巻き込まれる可能性を低くできます。

また、投資だからと言って「いかに儲けるか」といった視点ではなく、無理なく長期でコツコツ資産形成していく大切さや「投資と投機の違い」などについて授業を行っていくのではないでしょうか。

長期の資産形成に向いている商品の1つとして、新聞等では「投資信託の授業」と取り上げられたのかもしれません。

投資は資産形成に役立つだけでなく、投資をすることによって子どもが経済やビジネスに興味を持つきっかけになります。

そして、ビジネスに興味をもつと色々な職業があることに気づけるのでキャリア教育にも有効です。

高校生に必要な資産形成のための金融リテラシーを、親子で一緒に学ぼう

学校だけに任せるのではなく、ぜひ家庭でも資産形成のための学びに親子で一緒に取り組んでみましょう。

学校で学んだことを子どもに話してもらい意見交換したり、投資の基礎知識が学べる本を読んだりするのも良いでしょう。

活字ではなく漫画で投資について分かりやすく解説している本もあります。思春期で子どもがあまり親の話を聞いてくれない場合は、東京証券取引所や日本銀行が定期的に開催している子ども向けの投資やお金の講座を受講するのも良いですね。

親ではない大人が話した方が、子どもの心に響く場合もあります。

できれば、子どもが自分のお金で投資を始めてみると投資が「自分事」になり、より関心や学ぶ意欲が高まりますのでお勧めです。やってみないと成功も失敗も経験できません。

親子で一緒に投資に取り組むと、親子でお互い意見交換や投資について話す相手もできます。

最後に、投資に関して特に子どもに伝えて欲しいことがあります。

投資に「すぐに楽して儲かる話」はありません。

あったとしたら、偶然か詐欺です。人は本能的に短期で結果を出したいので、つい「すぐに儲かる」「楽して儲かる」という話に惹きつけられます。

このような話を聞いた時に、「怪しい」と警戒するアンテナを子どもが立てられるように、学校だけでなく家庭でも金融リテラシーを向上していけると良いですね。

田端 沙織(たばた さおり)

キッズ・マネー・ステーション認定講師/ファイナンシャル プランナー

2男1女を育児中のワーキングマザー。証券・運用会社で10年以上の勤務経験を活かし、FPサテライト(株)所属ファイナンシャルプランナー 兼 金融教育講師として、「正しく・楽しく・分かりやすく」お金のことを伝える活動をしています。

「見えないお金」が増えている現代社会の子供たち。物やお金の大切さを知り「自立する力」を持つようにという想いで設立。全国に約300名在籍する認定講師が自治体や学校などを中心に、お金教育・キャリア教育の授業や講演を行う。2023年までに2000件以上の講座実績を持つ。公式サイト「キッズ・マネー・ステーション