『剣の舞 我が心の旋律』 ©2018 Mars Media Entertainment, LLC, DMH STUDIO LLC

映画館ではクラシック音楽をテーマにした作品が続々公開

一方、“映画館におけるクラシック鑑賞”という新たなスタイルのエンタティンメントは、コンサートとは違う形で再開への道を歩んでいるように見受けられる。

15年目を迎える「METライブビューイング」は、大元のニューヨーク・メトロポリタン歌劇場での新シーズンが年内中止となったことによって、当然上映もできなくなったのだが、恒例の「アンコール上映」において効果を発揮しているのが14年間に積み上げられた名作映像の数々だ。

「オペラで世界旅行」のテーマの下、世界各地が舞台となったオペラ作品を地域ごとに分類し、バーチャル世界ツアーを提案したことは、まさにコロナ禍におけるスマッシュヒットに感じられる。

空調の効いた映画館でゆったり楽しむオペラの数々は、映画ならではの上映日数の多さと相まって、着実に実績を上げつつあるようだ。

さらに注目すべきは、クラシック音楽をテーマとした映画の数々だろう。

『パヴァロッティ 太陽のテノール』 ©2019 Polygram Entertainment, LLC ? All Rights Reserved.

8月に上映が開始された、旧ソ連の作曲家ハチャトゥリアンの姿を描いた『剣の舞、我が心の旋律』や、9月4日からスタートする、20世紀最大の歌手の1人パヴァロッティの魅力を集約した『パヴァロッティ、太陽のテノール』に、南米出身のピアニストの数奇な人生を描いた『マイ・バッハ〜不屈のピアニスト』など、注目作が相次いで公開される。

映像といえば、WEB配信でのコンサート活動もすっかり定着し始めたクラシック界だが、生のコンサートはやはり格別だ。

まずは、この秋予定されるコンサートが実現することを期待したい。あのアーティストは来日するのだろうか? 年末恒例の『第九』はいったいどうなるのだろう?。

などなど、心配事は無数にあるこの秋のクラシック界だけに、withコロナの時代に対応する新たなイベントの誕生と、それを後押しするプロモーションの出現に期待しつつ、今後の展開を見守りたい。