9月5日(土)、ストレイテナーにとって初の配信ライブとなる「TITLE COMEBACK SHOW」を開催する。
このライブタイトルからピンとくる人もいると思うが、今回のライブは今年リリースから15周年を迎える、2ndアルバム『TITLE』の再現ライブとなる。コロナ禍でこれまでのようなライブができない状況だが、だからこそスペシャルな企画で楽しんでもらいたいという、ストレイテナーの心意気が伺えるライブである。
この配信ライブ「TITLE COMEBACK SHOW」に向けての思い、またそこに至る過程や、また今回改めて感じたライブ観についてなど、フロントマン・ホリエアツシに話を聞いた。
コロナの前と後で変わったことと、変わらなかったこと
──いよいよ9月5日に、ストレイテナー初の配信ライブ「TITLE COMEBACK SHOW」が決定しました。その配信ライブについてお聞きする前に、ここに至る道のりをうかがいます。
20周年を終え、21年目を迎えた2019年は、「21st ANNIVERSARY ROCK BAND」と題した幕張メッセでのワンマンライブにはじまり、さまざまな盟友たちとの対バンツアーや、初の野音でのライブ、またミニアルバム『Blank Map』のリリースツアーなど、充実したライブ生活を送った1年となりました。
そこから迎えた2020年は、元々どんな活動プランを描いていましたか。
たしかに、去年を終えるまでは充実していたような覚えはありますね。今年は、ひとつは制作の年だったので、もともと上半期はあまりぎちぎちにスケジュールを入れていなかったんです。
春前くらいから曲作りをはじめてスタジオに入って、夏くらいまでレコーディングをやってというスケジュールだったんですよね。その間に、イベントとかフェスのお誘いはもらっていたので、オファーをもらえるものは受けつつという感じでした。
──新型コロナウイルスの影響で、今年の2月末くらいからはこれまでのようにライブができないムードになってきましたね。
2月の終わりくらいに弾き語りで東北に行ったりとかまでは、なんとか行けてはいたんですけど。その頃にも危機感というか、都心ではマスクが完全に売り切れていたりという感じにはなっていましたよね。
で、3月に入ってからは、ライブをやったアーティストが非難されたりするような感じにもなってきて。
──その頃ストレイテナーとしてや、ホリエさん個人としては、ここからどういうふうに活動をしていくのがいいのかというのは考えていましたか。
まずは、体を守らないといけないというのはありましたね。個人の判断というのは重んじられるべきだけど、我々ミュージシャンはどうしても、お店とかとはちがって、自分たちが動くことによってファンやリスナーを集めてしまうというか。
自分たちの存在に人を集めるという職業なので、その責任というのがあるなというのは考えました。例えば、僕がどこかお店にご飯を食べに行くということは僕の判断だし、自分の責任だと思うんですけど。
ミュージシャンは、それとはちがうなと思っていて。3月の半ばくらいからは出演が決まっていたイベントについても、いろいろと考えるようにはなりましたね。
そこから先は、イベント側ができないと判断することも多かったんですけどね。ただそういうときに、イベントの主催から申し訳ないと言われることはすごく心苦しくて。
関わっている人達がこれまで積み上げてきた努力を思うと。そこは自分たちとしても同じ気持ちだし、でもファンを危険に晒すのは避けたいなというのはありました。
──そういうことはバンド内でも話しました?
バンド内で話すときは大体ふざけているので(笑)。深刻な話には、あまりならなかったですね。
でもスタジオに入ったり何かで集まったときに、ニュースを見ながら話したりはしていたので。段々と厳しくなってきたねとかは話していました。最初のうちは、“なんか車みたいな名前のウイルスだね”とか話していたのに(笑)。
──その後、ホリエさん自身はライブハウスの支援企画であるとか、弾き語りで参加をしたりと、個人でいろんな動きはしていましたね。当時は積極的にそういった活動をしようという感じだったんですか。
それは、声をかけてもらって賛同したからという形なんですけど。積極的に出ようというよりは、自分の知ってる人たちが困っていたり、あとはどう考えてもライブハウスが存続していくのが相当難しいという状況だったので。そこはなんとかしたいという思いでしたね。
自分たちとしても音楽の活動の場を失いたくないし、これから出てくるバンドやミュージシャンが成長したり、自分たちの存在を知らしめる場がライブハウスだと思うので。
他にもいろんな媒体があるにせよ、僕はライブハウスは音楽という文化にとって大事な場所だと思っているから。なくなってほしくないなという思いがいちばんにありました。
──思うようなライブ活動ができない上に、家にとどまっていないといけない時間も長かったですが、その時間は音楽制作などに気持ちをシフトできた感じですか。
僕はそうですね。音楽を作るのはライフワークで、発表の場がなくても作ってしまうようなタイプなので(笑)。バンドでスタジオに入るのも自粛する期間もあったので、そのときはひとりで制作したりしていましたね。
──そういうひとりの作業が続いたところから、久々にスタジオに入ってみんなで合わせると、やっぱりちがうなっていう感触もあるんですか。
そうですね。でもそんなに長い期間ではなかったんですよ。4月中までアレンジ作業をやって、5月は丸々1ヶ月間休んで、6月からまたレコーディングを再開してという感じで。
同時にライブのスケジュールがどんどん中止になっていったので、落ち込んでばかりもいられないので、切り替えてレコーディングの日程にあてたりしたんです。だから制作面でいうと、普段よりも時間をかけた制作にはなったんですよね。
──ああ、却って集中して制作できてよかったと声もたしかに多いですね。
期限がないし、やり直せる機会があったので。せっかく時間ができたから、ということで有意義に使いたいなというのは思いましたね。
──ということでは自分の日常としては、あまり変えることなく過ごせた時間ですかね。
ライブをやっていないと、表に出ない分、自分を甘やかしてしまうところはあるので。いかに自分を律するかという闘いはありましたけどね(笑)。と言っても、生活がダレないようにというくらいですかね。
あとはどうしても、歌っていないとどんどん声が弱っていくので。そこは気にかけながら、これまではあまり自宅でがっつり歌い込んだりはしない方だったんですけど、そういうのはやるようになりました。
普通だったらスタジオに入ると思うんですけど、一時期は街のスタジオも営業できていなかったので。
──この自粛期間にもいろんなバンド、アーティストが配信でライブをやろうという動きもありました。そういう配信ライブは何か見たりしましたか。
いくつかバンド側から配信のアドレスを送ってもらって、観たりしてましたね。それぞれが試行錯誤していて、演出から何からこだわっていて、見せ方が全然ちがうので、自分たちが配信ライブをやるに当たっての参考にもなりますね。