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秋のクラシック界、最大の問題点は?

9月を迎え、本来ならば、秋本番のクラシックシーズンを彩る様々なコンサートの話題で盛り上がるクラシック界も、今年は流石に静かだ。

それもそのはず、オーケストラ公演を中心に、コンサートは徐々に再開し始めたものの、新型コロナウィルス感染拡大防止のために入場者数が制限され、コンサート自体も休憩なしのケースが散見。

プログラム自体も演奏者の密を避ける曲目に変更されるという状況だ。

さらには、この状況下において、来日アーティストの公演が実現出来るのかという問題がのしかかる。

クラシック・コンサート市場の中心は来日アーティストが占めるだけに、招聘元や主催者に於いては頭の痛い状況が続いている。何より先が見えないことが最大の難点だ。

その影響をモロに受けているのが、公演のためのプロモーションだ。

先が見えにくいだけに、これまでのような宣伝活動がしにくい状況は、チラシ制作や広告宣伝活動にまで大きな影響を与えている。

首都圏におけるクラシック業界の宣伝と言えば、各コンサート会場でのチラシ配布が大きな役割を担っていた。

オーケストラやオペラに室内楽&ピアノなど、各会場で行われる公演の関連公演に的を絞ったチラシは、次のコンサートを選ぶための重要なツールだ。

対象となる顧客がだぶることや、手にとってもそのまま捨ててしまう人が多いことから、“資源の無駄遣い”と言われ続けながらも、プロモーションのためには欠かせない存在であったことは否めない。

特にアーティストの姿を中心に据えた美しいチラシの数々は、日本独特の文化ともいえそうな存在だ。

そのチラシがコンサートの減少によって配布できない状況となり、それが理由で、チラシ自体を印刷しない公演が増え始めている。

同様に影響を受けているのが、無料配布のフリーペーパーだ。

WEBでの展開が中心になりつつある現代に於いても、紙媒体で見られるのならば手に取りたいというのが人間の心理。しかも年齢層の高いファン層が多いクラシック界においては尚更だ。

チラシ同様、配布会場が減ったことによって、読者数も激減。当然宣伝効果にも影響する。

それよりなにより、入場者数の制限によって収入が減ることで、広告宣伝費を捻出しにくい主催者の状況が、広告収入によって成り立っているフリーペーパーの存在を脅かしているのだ。フリーペーパーにおける主要メディアのページ数の激減がそのことを明確に示している。