続編である『ブラックパンサー2』の公開予定は、2022年5月。
あと1年半と少し先でした。
ディズニー社や監督からの正式な発表はまだなく、制作がどこまで進んでいたのか、氏の逝去によって本作がどうなるのかは、いまだ判明していません。
ここからは「もしも…」の話です。
今猛威を振るっている、世界的な疫病がなければ、彼がいつも通りの生活を送れていたら。
制作陣に自分の病気のことを伝え、無理のないやり方で、撮影時期を早めることが出来ていたら。
もしかしたら、世界中が憧れた私たちのヒーロー、ブラックパンサーの未来を、演じることが出来ていたかもしれない。
でも、それはあまりにも過酷な話だ、とも思います。
世界中で愛される、唯一無二のヒーローへと成長してしまったからこそ、人々が描くブラックパンサー像を崩すわけにはいかない。
誠実でひたむき彼は誠心誠意、全身全霊で撮影に臨み尽くしたはずです。
結果的に、残り少ない彼の命をさらに縮めるものになっていたかもしれない。
亡くなるほんの数ヶ月前、彼はパートナーだった女性と、ひそかに結婚していました。
自分の人生がいよいよ終わろうとしている事を悟り、最後の数ヶ月を愛する人に見守られながら、共に穏やかに過ごす決断をしたんだと思います。
もし、望まれるまま無理をして撮影に望んでいたら。
そのわずかで儚い数ヶ月さえ、もしかしたら叶わなかったかもしれない。
そう思うと、「続編はどうなるの?」「観られないかもしれない、悲しい!」なんて私たちの心配は、今は考える事さえ憚られるのでは、と思ってしまいます。
この最期の数ヶ月だけでも、どうか、どうかチャドウィックさんが穏やかで安らかであったと信じたい。
想像し難いほどに、誰よりも無念だったと思います。
自分が演じ、世界中で愛されたヒーローの、その先の物語を続ける事が出来なくて、誰よりも悔しかったはず。
また、優しく慈愛に溢れ、寛大な彼のことです。
未曾有の疫病、再び表面化し数々の痛ましい事件を起こした人種差別に、大勢の人を巻き込んだ騒動。
きっと胸を痛めていたに違いないはず。
でもどうか、どうか、絶望せず、愛するパートナーと穏やかで安らかな時間を過ごせていたと信じたい。
これ以上胸を痛める事をせず、ただ穏やかであって欲しい。