ブラックパンサーとして、作品の中で命、権利、成すべきことへの疑問を、悲痛に叫ぶシーンが数多くありました。
一体、どんな気持ちで演じていたんだろう。
自らの辛さを誰にも見せる事なく、どれだけの慈愛を、寛大さを、崇高な精神を持ってしたら、私たちの心を抉って揺さぶるようなあんな演技、台詞を吐けるのか。
アクションシーンも多い『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の撮影は、たった3年前。
国の存亡がかかった決戦の際、彼が放つ「Yibambe!」の台詞に、どれだけの人が勇気付けられ、鼓舞されたか。
もちろん、私もその1人です。
「Yibambe!」とは、ワカンダの公用語として使用されたコサ語で、「最後までやり抜く」「闘志を示す」「全力を尽くす」といった意味を持つ言葉。
己に死が迫り来る感覚を刻一刻と感じながら、他人を鼓舞する力強さを持てるなんて。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』で、絶望する仲間たちの元へ、1番最初に戻って来てくれたのは、ブラックパンサーでした。
監督も「彼が最初に戻って来るのが、1番観客が喜ぶと思ったんだ」と語っています。
もう、世界中の人々に勇気を与えるヒーローになってる。
みんなが彼を待ち望んでいた。
最初に彼が戻ってきて、彼を慕うワカンダの兵士が全員集結して、キャプテンより先に「Yibambe!」と、アベンジャーズを鼓舞して勇気づけてくれたんです。
誰よりもその役回りを果たすに相応しい、圧倒的なヒーローぶり。
自分は命の灯火が消えそうという時に、どうして、どうして他の人を鼓舞できるの?
あまりにも尊い。なんて崇高な人なんだろう。
自らの辛さをおくびにも出さず、最後まで追いかけて守りたい背中と、慈愛に溢れた崇高な生き様を見せてくれました。