高等学校等就学支援金制度とは?

ご家庭の教育費負担の軽減を図るための国による授業料支援の仕組みで返還不要です。全国の約8割の生徒が利用しています。

受給資格は国立・公立・私立問わず、高等学校(全日制、定時制、通信制)、高等専門学校(1~3年)、専修学校の高等課程等に在学する、日本国内に住所を有する方が対象です。

ただし、所得要件に当てはまる方(両親・高校生・中学生の4人家族で両親の一方が働いている場合の目安で年収約910万円以上の方)、高等学校等を既に卒業又は修了した方、高等学校等に在学した期間が通算して36月(定時制・通信制の場合は別途算定)を超えた方は対象となりません。

2020年4月からの高等学校等就学支援制度の変更点とは?

2020年4月から高等学校等就学支援金が変わりました。

公立高校に通う生徒の支給額に関しては今まで通り、世帯の年収目安約910万円未満(注)の場合、公立高校授業料相当額(年額11万8,800円)です。現行でも国公立高校は授業料負担が実質0円になります。

私立学校等に通う生徒に関しては下図の通り、世帯の年収目安約590万円未満(注)の生徒を対象に上限額の引上げを行い、私立高校(全日制)の場合、39万6,000円が支給されます。

私立高校(通信制)の場合は29万7,000円、国公立の高等専門学校(1~3年)の場合は23万4,600円が支給上限額です。各学校との授業料との差額は、各世帯で負担になります。

これにより経済的な理由で私立高校への進学を諦めていたケースでも受験の際の選択肢として増やすことが可能となりました。

上限額の引上げは現在、就学支援金の対象となっている学校に適用され、引上げ後の支給額は在校生(2020年度よりも前に入学した生徒)にも適用されます。

(注)両親・高校生・中学生の4人家族で、両親の一方が働いている場合の目安

もう1点の変更点として、令和2年7月分以降は就学支援金の支給額の判断基準が次の計算式(両親2人分の合計額)へと変わります。

市町村民税の課税標準額×6% ー 市町村民税の調整控除の額

※政令指定都市の場合は、「調整控除の額」に3/4を乗じて計算します。

(令和2年4月~6月分は令和元年と同様、両親2人分の都道府県民税所得割額と市町村民税所得割額の合算額の合計額により判定されます)

この国の制度の他に低所得世帯の授業料以外の教育費(教科書・教材費など)を支援する「高校生等奨学給付金」(返済不要)や、お住いの都道府県によっては独自の授業料支援を行っている場合があります。

詳しくはお住いの都道府県にお問い合わせください。

また、この就学支援金制度の申し込みは学校を通して行います。

新入生の皆さんは入学時の4月などに案内がありますので忘れずに申し込みを行うようにしてください。

在校生の皆さんは収入状況の届出を行う7月頃に学校から案内があります。

2020年4月から私立高校等に通う生徒の「就学支援金」の上限額の引上げが行われることにより、ご家庭の教育費の負担が減ることから、高校を選ぶ選択肢が増えると思います。

受給資格を満たしている場合は忘れずに申請するようにしましょう。

串宮由紀子(くしみや・ゆきこ)                

マネーサロンなないろ主宰/ファイナンシャルプランナー(AFP)/キッズ・マネー・ステーション認定講師

2013年、ママ達が気軽にお金について話す場を設けたく、マネーサロンなないろを立ち上げる。子育て中のママという立場から、ママと子ども達へお金についてわかりやすく伝授している。現在自分も2人の娘(中1、小4)にマネー教育を実践。

「見えないお金」が増えている現代社会の子供たち。物やお金の大切さを知り「自立する力」を持つようにという想いで設立。全国に約300名在籍する認定講師が自治体や学校などを中心に、お金教育・キャリア教育の授業や講演を行う。2023年までに2000件以上の講座実績を持つ。公式サイト「キッズ・マネー・ステーション