物語が完結したとき、エンドロールと共に流れるのが主題歌だ。映画において、主題歌とはどんな存在なのか。そう尋ねると、綾野は迷いなくこう答えてくれた。
「“息吹”ですよね。作品を観ているときって、観客はただただひたすら受け止めるしかなくて、その間は自分で呼吸の仕方もコントロールできない状態になっている。映画というある種の悪魔性を持ったものが、その魔力によって人の呼吸を奪う。
だから、苦しくなるし辛くもなるし高揚もする。それが、最後に『Beast』が流れた瞬間、ふっと呼吸ができた」(綾野)
本作はスリリングな展開で観客を惹きつけながら、安楽死という社会的問題について観客の胸を深くえぐる強度を持った作品だ。
綾野自身も「この作品の強度に耐えうる表現ができているのか? と、自問自答の日々でした」とコメントしている。
百戦錬磨の実力派でさえ苦しんだ衝撃作。その最後のピースを埋めてくれたのが、『Beast』だったという。
「この『Beast』が流れたとき、映画が完成したと思いました。僕たちが現場で試行錯誤しながらも辿り着けなかった部分を、『Beast』が補完してくれた。
正直、ずっとこの作品についてどう語ればいいのか悩んでいました。安楽死の是非なんて僕らには問えない。かと言ってただのドキドキハラハラのエンターテインメントというだけでもない。どう作品について伝えればいいか、葛藤を抱えていました。
でも、『Beast』が入った瞬間、これだと。『Beast』の持つ勢いに踊らされて、盛り上がって、でも最後のリフでドンッと来る。まさにこの映画そのものなんです。
きっとみんな最後は生を体感する。その感覚ってすごく大事で、そう観客に思わせてくれるのが主題歌の力。
[Alexandros]とやるなら絶対そういうものにしなきゃいけないと思っていたし、それができた自信があります。ぜひまた別の作品でもご一緒したいなと改めて想っています」(綾野)
『ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-』は11月13日(金)公開。
[Alexandros]のシングル『Beast』は、11月11日(水)リリース。詳しくはユニバーサルミュージック[Alexandros]特設サイトまで。