役を通してあらためて知るチン・セヨンの輝く魅力

序盤で命を落としてしまうためウンギの登場シーンは少ないものの、少女時代の彼女たちも描かれることで、彼女たちの相違点はよりはっきりと伝わってくる。

幼いころから家で本を読んだり刺繍をしたりするのが好きな姉ウンギに対して、活発でじっとしているのが苦手で外の世界への好奇心いっぱいの妹ウンボ。父カン・イスの宮廷での立場は強くはないが王に信頼され、姉妹は両班の娘として何不自由ない生活を送っている。

ただし彼女たちには、双子であることが世間に知られないように生きなければならない事情があり、外で二人一緒に行動しないように注意して過ごしてきた。こうした設定も後々の物語に生かされていく。

その後、姉妹が生きて再び会うことは叶わず、自分が何者かを知ったウンボが対面するのは冷たい遺体となったウンギだった。わずかではあっても、姉妹の思い出のエピソードや、行方不明の妹を案じ続けるウンギの気持ちが描かれることで、ウンボが姉の死を嘆き、その無念を晴らそうと危険を顧みず奔走するのも納得できる。

チン・セヨンの美しく凛とした姿、真っすぐなまなざしが印象深い。ウンボを通して彼女の魅力をあらためて知ることができる。

チン・セヨンが演じた二役

ウンボ

ウンギの双子の妹。おてんばで言いたいことを言う性格。事故で記憶をなくし、たくましく成長する。

ウンギ

弘文館副提学カン・イスの長女。落ち着きがあり賢い自慢の娘。揀択(カンテク)により王妃となるが暗殺される。

<ストーリー>

幼いころに家族と離ればなれになり、記憶を失ったウンボは情報屋であり、宮廷の星宿庁の巫女となっていた。ある日、暗殺された王妃が自分の双子の姉ウンギだと知り、犯人を突き止めようと決意。王を排除しようと目論む一派と手を組み、揀択(カンテク)へと臨む。

『韓流ぴあ』2020年11月号より抜粋

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『韓流ぴあ』ブレーンライター。香港映画から始まって韓国エンターテイメントの魅力に目覚めて20数年。ドラマをはじめとする韓国エンタメについて取材・執筆する日々の中、韓国作品のほかに中国時代劇や台湾作品に割く時間が増加中。

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