他の作品の歴史歪曲からとばっちり!?

ところが放送終了後、この期待に水を差す動きが起こる。それは3月下旬から別の放送局で放送が始まった歴史ドラマがきっかけだった。朝鮮王が悪霊に取り憑かれて罪のない民を虐殺する描写に加え、中国風の調度品や料理などを登場させるなどしたのが、歴史歪曲だと大きな論議を巻き起こす。これにより、2話で打ち切りに追い込まれるという前代未聞の事態となった。

このドラマを手がけた脚本家パク・ゲオクの前作が『哲仁王后』だったことから、騒動は同作へも飛び火。同作は中国のウェブ小説をベースに、現代男性の魂が過去の王妃の体に入るという設定だけを借りているのだが、中国や朝鮮族を美化している、脚本家は嫌韓だとの言われなき糾弾を受ける。その結果、『哲仁王后(チョルインワンフ)』は再放送不可となり、俳優のCM出演にまで言いがかりのような非難が寄せられた。

特に最近、中国企業が韓国ドラマのスポンサーとなって、過剰な広告を劇中に入れる傾向が目立っており、そうしたことへの反発もあって、より問題が大きくなったようだ。別のドラマで、主役が中国製の即席ビビンバを食べるシーンが放送後に問題となって、再放送や配信ではカットされたという話も記憶に新しい。これらのニュースが日本でも報じられ、もしかして『哲仁王后』は日本で放送されないのでは、と心配する声も上がるようになった。

そんな心配はとりこし苦労に!

だが、そんな心配は杞憂に過ぎなかった。衛星劇場では6月に第1話が先行放送されたのに続いて、7月16日から本放送が開始。1話を見ただけで、きちんと史実を踏まえた上で、フィクションを絶妙に織り交ぜて描いていることが分かる。もちろん、歴史に関心がなくとも、ときめくロマンスやサスペンスの要素もある権力闘争、さらにはヒロインが作る鮮やかな料理まで、多彩な面白さに満ちていて、誰が見ても文句なく楽しめることは間違いない。

 

『哲仁王后(チョルインワンフ)(原題)』
衛星劇場にて7月16日(金)日本独占初放送スタート
毎週金曜日午後11:00~深夜2:00ほか(2話連続放送)
© STUDIO DRAGON CORPORATION

『韓流ぴあ』ブレーンライター。香港映画から始まって韓国エンターテイメントの魅力に目覚めて20数年。ドラマをはじめとする韓国エンタメについて取材・執筆する日々の中、韓国作品のほかに中国時代劇や台湾作品に割く時間が増加中。

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