黒猫飼いガラス作家「可夜」、注目の初個展
猫と切子ガラス。ふたつが合わさると、その魅力は無限大に。
ガラス工芸家のIceCrack+/可夜さんによる初個展『逢魔ヶ刻、猫は跨ぐ。世を』が渋谷のいろどりやギャラリーで開催された。
可夜さんと言えば、猫と切子を融合させた「猫切子」や、彫刻に宙吹きを融合した「月渡り猫」といった独特の世界観を持つ作品たちで知られる。
TV番組の『所さんのニッポンの出番!』、『行列の出来る法律相談所』、NHK関西ニュースといった多数のメディアや雑誌でも取り上げられた。さらに観光庁が行っているおみやげグランプリ2017で見事『クールジャパン賞』を受賞している。
今回の個展では、可夜さんがこの日のために創り上げた作品約200点が展示販売された。
初日の展示開始時刻。ギャラリーの前にはすでに行列が。可夜さんの作品に魅了された人は多く、今回は一点モノ作品も多く出店販売される。新作を確実に購入しようという人も多いはずだ。
開場にあわせて、来場者がギャラリーに吸い込まれるように入っていく。ギャラリー内はすぐに人でいっぱいになり熱気も増す。
来場者はひとつひとつの作品を手に取り、細部に至るまで丹念に観察。細かな部分のデザイン、形状、光に当てた際の反射による輝きなど、作品の魅力を存分に体感している。
可夜さんの作品で、特に有名なのは『クールジャパン賞』 受賞作品でもある「夕焼け猫+七宝紋/切子」だろう。
しかし、だからこそ可夜さんは、「夕焼け猫」のデザインを超えるという壁に苦しめられたと言う。まさに自分自身がライバルであった2年という時間を費やし、今回、新たなるデザインの切子が登場した。
それが第2弾「逢魔猫切子」である。猫の尻尾に注目して欲しい。尻尾の先が二又に分かれている。そう、この猫はいわゆる「猫又」なのだ。そして背景はまさに個展のタイトルにもある「逢魔ヶ刻」。
古くから夕暮れには妖(あやかし)が出現するというが、この猫又もまた夕暮れに出没し、猫に化けて人間界を闊歩するのかもしれない。
「夕焼け猫」 は愛猫の雪ちゃんを撮影した写真がモチーフになっているが、今回の作品は、想像上の要素を取り入れている。並べられた作品は可夜さんのデザインと、江戸切子職人の仕事によるものだ。
今回の個展では、可夜さんが自らデザインするだけでなく、実際の作品まで自分自身のみで作り上げた作品が多く展示販売されている。