距離感は最初から親子みたいだった
――社会人になった優子ちゃんが森宮さんと一緒に料理をされるシーンがとても息の合ったもので、家族の絆や、2人の積み重ねてきた歴史が感じられました。おふたりはどのような気持ちで演じていらっしゃったんでしょうか。
永野 いつも森宮さんが作ってくれていたところに「一緒に私も手伝っていい?」と言うのは、優子の中では成長した自分を見せるところでもあるし、森宮さんへの感謝をその行動で伝えようとしているところはだったので、あのシーンは自分の中でも「ここが変わるところだな」と思いながらやっていた気がします。
田中 基本的に料理が得意ではないのでいつも手元は馬鹿みたいに緊張していました。でもあのシーンは普通に楽しい気持ちが勝ったというか……森宮さん的にも優子ちゃんの手伝いたいという言葉に驚くけど、変に深い意味を持たさずに、自然と一緒に作る流れになるのが2人の関係性だと思うので気負うこともなくやっていました。
――そんないろんなシーンを一緒にやられている中で、「本物の親子みたいだな」と感じられたことはありましたか?
永野 現場でずっとお話していたかと言われるとそうじゃなかったので、距離感が親子だなってずっと思っていました。 近すぎず、離れすぎず、同じ空間にいても喋らない時間もあって、それは最初から田中さんが森宮さんという父親として、私と向き合ってくださったからだと思います。
――田中さんはそういった距離感は意識されていたんですか?
田中 最初の方は。沈黙になるとどうしても話しかけた方がいいのかな、って思ったりしましたが、芝居でコミュニケーションは取れているし。
それに、芽郁ちゃんって結構わかりやすいんですよ。嬉しいときは嬉しそうなのが出ちゃうし、眠いときは眠いのが出るし、本当に正直な反応が出てくるんですよ。
だから面白いなと思って。スタンバイ中にソファーとかで一緒に座っていたとして、会話がなくてもポーッとした顔してると「本当にポーッとしてんだろうな」って思えるので、ほっとけるというか。話したいことがあったら話せばいいや、ぐらいの感じでしたね。
その感覚は、親というか森宮さんが優子ちゃんを見ているときの、問答無用の自分が守らなきゃ、とか育てなきゃみたいな気持ちに多分数%ぐらいはリンクしているはずだと思います。