30代の女性は“無敵タイム”

撮影:山口真由子

――桜井さんは現在27歳ですが、30代にはどんなイメージがありますか?

桜井:10代、20代での経験を経ての余裕が出ていたらいいな、と(笑)。周りの皆さんが「30代はすごく楽しい」とおっしゃるんです。なのでそういう願望があります。

――そうなるために、今、やるべきことは何だと思っていますか?

桜井:とりあえず、失敗をたくさんしなきゃ、と思っています。私、めちゃくちゃ保守的な性格なんです。なので、失敗をどうやってうまい具合に回避するか、ってことばかりを考えがちで。

やっぱり、失敗して、痛い目に遭わないとわからないことってあると思いますし、人間的な深みのようなものが私には圧倒的に足りない、と感じているので、そこは30歳になるまでに補わねば、と思っています。

穐山:桜井さんはすごく真面目なので、その気持ちを忘れずにいてほしいな、と思います。私はそろそろ30代が終わってしまいますが、振り返ると無敵だったな、と思うんです(笑)。

撮影:山口真由子

――監督は30代になってから、監督業を始められたんですよね。

穐山:そうです。30代に入っていろいろ吹っ切れたというか。それまでの外側から来ていた価値観に振り回されていたのに気づくことができて、自分軸で考えられるようになったんです。それで棚卸しをしてみた結果、映画をやる、ということが決められました。

たぶん、それまでは決める勇気がなかったというか、世間の価値観に縛られていた部分があって。そこから解放されて、ホントに無敵タイムみたいなものに入ったので、桜井さんも安心して(30代に)身を投じてもらえたら(笑)。

桜井:早く入りたい、無敵タイム(笑)。そういうお話を聞くとめっちゃ元気になります。

穐山:訪れるので大丈夫ですよ。ちゃんと自分のことを信じてあげれば。

桜井:それは大事なことですね。

撮影:山口真由子

――最後にお二人それぞれ、観客の方にメッセージをお願いします。

桜井:美玲はモデルの世界で葛藤をしていますが、私たち同世代の女性はみんな似たような経験や悩みを持っていると思うんです。

この映画には見て見ぬふりをしているものが、痛いほどちゃんと描かれているので、自分を振り返るきっかけにもなるけど、こんなふうに悩んでいるのは自分だけじゃないんだ、こうやって同じように悩んでも、前に進もうとしている女の子たちがいるんだ、ということも感じられて、悩んでいる自分に寄り添ってくれるとも思うんです。

今の状況的に一人で過ごす時間も増えて、立ち止まって自分のことを考える時間があるからこそ、観ていただきたい映画だな、と思います。

穐山:桜井さんの言ったように、同じような気持ちになっている人がいるんだ、というのは、本当にそうだと思います。私が撮る映画は、人に隠しがちな、あまり見られたくない部分みたいなものを描くことが多いのですが、私はそこを人間として愛しい部分だな、と思っているんです。

それを見せることで、隠そうとしていた人たちも、心の中で「やっぱりみんなそう思っているんだ」と、安心できるかはわかりませんが、確認できたらいいな、と思っています。

私自身はこの時期を過ぎ去りましたけど、そういう世代の方は、こういうこともあったな、という感覚で観ていただけると思いますし、これからこの時期を迎える若い方たちは、こういう気持ちになるかも、と思って観ていただけると思います。

ただやはり、今、リアルにこの想いを感じている世代の方には、刺さったらいいな、と。そういう人たちの気持ちをこの作品を通して、受け止めたい、と思っています。


桜井さんが「何か大きな事件が起こるとかではなく、その関係性とか、会話で見せていく繊細な物語」とおっしゃっていましたが、まさにその繊細に描かれているもの一つひとつが、心に刺さる映画です。

自分はどう生きてきたのか、今、どう生きているのか……そんなことを考えさせられながらも、この想いは私一人ではなかったのだと、ホッともできる。見終わったとき、どんな想いが芽生えるのか。そんなことも期待しながらぜひ劇場へ足を運んでみてください。

作品紹介

映画『シノノメ色の週末』
2021年11月5日(金)全国ロードショー

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