日本の教育現場でSTEAM教育はどんなふうに取り入れられている?

――日本の教育現場において、STEAM教育はどう取り入れられつつあるのでしょうか?

中島さん「コロナの影響もあり、学校はデジタル化が一気に進んだ感がありますよね。

ネガティブにとらえれば格差が生じやすい状況で、得意な人のところには楽しいことが起こって、できない人たちのまわりでは形骸化したり、負担になったりしてしまうのですが、これはチャンスでもあると思っています。

日本中のいろいろな学校、あえて地方も都会も、離島や過疎地、貧困と言われる地域や特別支援学校など、こども園から大学までを繋いで、そこに対しておのおののプロジェクトもあれば全体への働きかけもするような『未来の地球学校』というプロジェクトも進んでいます。

例えば都心の優秀な学校ではコネクションができてさまざまな面白い先生が来てくれるし、出会いの場も少しずつできているんだけど、地方ではそんな機会はめったにないし、一人先生を呼ぶにしてもすごく高くついてしまう……などという差が生じているんですが、バーチャルネットワークを作れば誰でもアクセスしやすくなりますよね。

そういったネットワークを通じて、プログラミングやデザイン、アートのような専門性の高いものに関して、広くワークショップを行うということも試しています。

目指しているのは、子どもたちから面白いアイデアがたくさん出てくること。

科学もテクノロジーもエンジニアリングもアートも数学も、全部大事なんですが、やはりそれを使って何をするかというところが重要。

実際に子どもたちが試行錯誤して計算してみたり、作ってみたり、そういうのをやっている姿が見えてくると先生たちもワクワクするし、自分も何かできるかもと発想がわいてくるものです。

まずデバイスが届いたことは良いことなので、これから広く開かれた機会をたくさん作っていくことが大事かなと思っています」

――なんだかSTEAM教育って、今までの勉強=つまらないというイメージに比べると、とってもワクワクします。

中島さん「言葉の力ってあると思うんですよね。今は、STEAMと聞いたらワクワクして、子どもたちが自分なりのアイデアをちゃんと形にする喜びがある言葉なんだ、というふうに認識してもらえるようにする、大事な時期なのかなと。

ワクワクする響きがあればいいなと思っています」