「広瀬さんはさらに演技に深みが増して、人としての成熟を感じさせた」
そんなふたりの間で撮影中の指針となったのは、韓国語で“感じ”や“フィーリング”を意味する「ヌッキム」という言葉。「ひとことで言うと、腑に落ちるかどうか。一つ一つのカットに対して、画と芝居に“ヌッキム”が生まれるまでお互いに粘った」と李は振り返る。
ふたりは100%画コンテなしで現場に入り、リハーサルを綿密に行った上で撮り順を決めていくというスタイルを選択したが、結果、ホンの直観やひらめきが炸裂し、奇跡のような瞬間がいくつも誕生したという。
このたび公開されたのは、そんな奇跡のような瞬間を捉えた新場面写真。
水の滲むような叙情的ショットから、俳優の表情を大胆に捉えたドラマティックなショットまで、ホンの緩急自在にカメラを操るその卓越した映像センスが感じ取れるものとなっている。
ホンは、日本の俳優たちが持つ高いポテンシャルも絶賛。
「広瀬さんはさらに演技に深みが増して、人としての成熟を感じさせた。松坂さんはクローズアップした時の表情に何度も驚かされた。身体を徹底的に絞り込んで歩き方まで完全にキャラクターになりきった演技をみせてくれた。
横浜さんはいろいろな引き出しをもっていて、キャラクターの暴力的な面についても単純な表現ではなく、その人物の内に抱えているものや背景を感じさせる演技をみせてくれた。多部さんは短い登場だったが強烈な印象を残す演技だった」と話す。
「どの俳優も、”その人物そのもの”になっていると感じる瞬間が度々あり、集中力が本当に凄かった。それがカメラを通じて伝わってくる時が何度もあり、感動した」と賛辞を送った。
また、全国10の劇場で『映画『流浪の月』公開記念 撮影監督ホン・ギョンピョによる撮り下ろし写真展』が開催、同写真が「ホン・ギョンピョ撮り下ろし『流浪の月』ポストカードブック」として、全国劇場窓口にて発売されることも決定。
ホンが撮影の合間に撮り溜めていた現場ポートレートだというそれらの写真は広瀬すず、松坂桃李、横浜流星、多部未華子、白鳥玉季の姿が至近距離で捉えられており、現場の緊張感や彼らの息遣いまで感じとれそうな臨場感に溢れ、鑑賞の記念に手元に置いておきたくなるものとなっている。
映画『流浪の月』は5月13日(金)より公開。