30年前、中国の南京駅前で肉まんを立ち食いしたことがある。手のひらサイズでずしりと重く、肉汁をたっぷりとふくんだ肉まんだった。
四川を中心に中国全土に300店舗を展開する同店が、日本1号店を原宿にオープン
もう一度中国で肉まんを食べたいと思っていたら、本場中国のレシピで肉まんを作る店が原宿にできたという。『包馔夜包子(パオセン イェーパオズ)』である。
四川を中心に中国全土に300店舗を展開する同店が、日本1号店を原宿にオープンさせたというのだ。
大の肉まん好きとしては、“喰わずに死ねるか”と思い、原宿へ向かった。
その店は表参道からわきに入った細い路地に佇んでいた。店内にはイートインコーナーと、パーテーションで区切られた厨房があり、厨房では3人の美女 (メイニュ、おねえさん)が熱心に肉まんを包んでいた。
美女がマンダリン(北京語)で話をしながら肉まんを作る店内は、もろ中国。30年前、『深夜特急』を読み、中国を1か月放浪した者にはとても懐かしい風景だった。
ワクワクしながら厨房をかぶりつきで見学させてもらった。もっとも当時の中国にはこんな洒落た店はなかったが。
肉まんは4種類
肉まんは、「火鍋パオズ」、「麻辣パオズ」、「白ネギ肉パオズ」、「キノコ肉パオズ」の4種類(各4個入り580円)と、それぞれが1個ずつ入った「ミックス」(580円)がある。
四川といえば、麻婆豆腐発祥の地だけに「火鍋パオズ」と「麻辣パオズ」の、辛い肉まんが名物らしい。
「火鍋パオズ」と「ミックス」を頼んだ。南京で食べた肉まんは手のひらサイズだったが、この店の包子は小籠包的なひと口サイズ。小さいので女性でも4個を完食できそうだ。
まずは「火鍋パオズ」から実食。でも、その前に、ひっくり返して裏面を観察する。
肉まんの顔は“裏面”だと思っている。肉汁が底にしみだしている肉まんは、まちがいなくうまい。
『パオセン イエーパオズ』の「火鍋パオズ」は、肉汁がじんわりとしみだしていた。
顔を確認し、ひと口噛んだ。その瞬間口のなかを辛さが走った。
30年前、四川には行けなかったので、本場の麻婆豆腐を経験していないが、四川料理の父といわれる陳建民が創業した『四川飯店』の麻婆豆腐は山椒がきいていて舌がしびれた。
「火鍋パオズ」の辛さは、舌がしびれるほどではないが、やはり辛い。
でも、ご安心。