真逆な2人。「足して2で割ったら本当にちょうどいい」

田中雅功 撮影:友野雄

――曲の後半にある「前へ」というキーワードがとても印象的だな、と思うのですが、おふたりが悩んだり、立ち止まったときに、また踏み出すためにしていることはありますか?

雅功 何個かあって……そうだな。大体悩むときって仕事か人間関係じゃない?

彪我 まあね。

雅功 僕らの場合は仕事に関しては分かりやすくて、曲が書けないとか、うまく歌えないとかなんですけど、それってわりと自己完結できることなんですよね。気持ちが前に行くかどうかでしかなくて。

……ってなってくると、仕事で落ち込んだときは、いろんな音楽を聴きます。世代関係なく聴いて、これだけ俺はインプットしているから大丈夫だ、って言い聞かせるようにしていますね。プライベートとか人間関係は……友達とごはんに行くぐらいですね。どうしてんの?

彪我 僕、あんまり悩まないタイプなんですよ。

雅功 あー、そうだよね、そうだ(笑)

彪我 小学3年生から中学2年生までの期間は、めちゃくちゃ友達と衝突していたんですよ。言い合ったりとか、ケンカ売られて追っかけられるとか。

雅功 かわいいものですよ、小学生ですから。

彪我 でも、中学3年生以降、全くそういのがなくなって。なんですかね、言い方があれかもしれないですけど、人への期待がなくなったのか……。

雅功 ちょっと本当に良くなかったな、言い方が!(笑)

彪我 稀にあるよね、本当に良くないパターン(笑)。でも人のことは好きだし、喋るのも好きですよ? ただ、なぜか中学3年生からケンカも言い合いもなくなったんですよ。だから、人間関係の悩みがなく。

雅功 本当に穏やかなんですよ。どちらかというと、僕がすごく落ち込むタイプで、いつも彪我に「どうしよう、どうしよう」って言ってるんですけど、彪我は全く興味がない。

彪我 はははっ! 興味なくないよ、そんなに気にしないほうがいいんじゃないの、とは思うけど。気にしたってしょうがないな、って思う。相手の気持ちを変えられるのには限度があるじゃないですか。根本はやっぱり変わらないし、仕方がない部分はあるかなっては思います。

雅功 僕は変えられる、話せばわかると思っているタイプなので。真逆だよね。

彪我 そうだね。でもそれで8年やっていますからね。

――バランスがとれている?

雅功 性格にしても何にしても、2人を足して2で割ったら本当にちょうどいいんですよ。対極ですね。

彪我 ほどよく悩んで、ほどよく解決して。

――じゃあ彪我さんは人に何か言われても、落ち込んだりしない?

彪我 落ち込んでも、一夜だけです。寝たらもういいやってなっちゃうと思います。

――雅功さんは……

雅功 超ひきずります。

彪我 あはは! 唯一あるとしたら、音楽で何も思い浮かばないとき。ライブに行くとすごく制作意欲が湧くので、ライブとか行って、あとはとにかく曲を作りまくるのが、僕の悩みを解決する方法ではあるのかなあ、とは思いますね。

髙田彪我 撮影:友野雄

――ちょうどおふたりと同世代の方も社会に出るタイミングだったり、いろいろと環境が変わって落ち込む、なんてこともあると思うのですが、そういう方々にアドバイスはありますか?

彪我 さっき雅功と音楽ミックスの話、音量レベルの話をしてたんですけど、楽曲って、ギターもベースもドラムも頑張って一気に鳴らしたら、あんまりまとまっていなくて綺麗には聴こえないんですよ。

だから、どこかで足し引きをして、ここはギターでここはベース、というふうにバラけるとまとまりも出るし、結果、いい音楽になるんじゃないじゃないかな、って。そんな感じで、頑張りすぎんなよ、って。たまには休んでもいいんだよ、ということを僕は言いたいです。

雅功 アドバイスか……僕が欲しいぐらいなんですけど(笑)。でも、自分を主人公だと思うことじゃないですか。

彪我 ああ、それはあるね。

雅功 やっぱり自分の人生は自分のものなんで、休むもそうですけど。特に日本人って誰かの迷惑とか、誰かのために、っていう自己犠牲が美しいとされがちですよね。

もちろん、それもいいことですけど、極論、主人公は自分なんで、自分が納得いくようにとか、苦しくなりすぎないような選択を取ってもいいんだ、だって自分は主人公だもん、ってなれるのが一番いいのかなとは思います。