さくらしめじ 撮影:友野雄

さくらしめじが7月23日に『辛夷のつぼみ』を配信リリースした。

4月に行われたワンマンライブ『春しめじのお花し 二冊目』で披露されたこの楽曲。『春しめじのお花し』は演劇とライブを組み合わせた公演で、脚本はメンバーの田中雅功が担当している。

別れと葛藤、そして再び道を共にする決意をするまでの物語のラストに歌われる『辛夷のつぼみ』はその世界観にマッチしており、観客の心を揺さぶった。そんな新曲の制作を通して2人が初めて体験したこと、さくらしめじが伝えたかったメッセージについて聞いた。

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冬という過酷な時期を経て春に咲く「辛夷」に込めた想い

さくらしめじ 撮影:友野雄

――タイトルの「辛夷(こぶし)」ですが、するっと読むには少し難しいような。お恥ずかしながら、この曲をお聞きするまで漢字を知らなかったです。

田中雅功(以下、雅功) そうですよね。

髙田彪我(以下、彪我) 大丈夫です、僕も知らなかったです。安心してください(笑)

――よかった(笑)辛夷はどういうお花なんですか。

雅功 春に咲く桜っぽいお花なんですよ。詞は僕が書いたんですけど、「辛夷」に思い入れがあって。桜はわりとつぼみになってから咲くまでが早くて、辛夷は冬のころからつぼみになって春に咲くんです。

冬という過酷な時期を経て春に咲くってすごく素敵だな、と思ったんですけど、それを中学生のときに当時の学年通信のタイトルで知って。国語の先生がつけたタイトルで、ずっと頭に残っていたんです。すごく好きな花だったということと、曲にマッチしていたので、こういうタイトルにしました。

――歌詞にはどういった想い、メッセージを込められたのでしょうか。

雅功 『春しめじのお花し』というワンマンライブのために作った曲なんですが、別れをテーマにしていて。生きていれば、別れや辛いこと、悔しいことって必ずあるじゃないですか。でも、ネガティブなことも何かに繋がっているはず。「あの出来事があったから今がある」「今があるからこれからがある」って思いたいなあ、と思ったんです。

ワンマンライブ自体も「さくらしめじがもし解散したら」という世界観なんですけど、脚本には解散を経たからこそ気づけたことや得たものの中で、2人がもう一度、出会ったときに大きくなっている、ということを書いたので、歌詞にもギュッと詰め込みました。

――歌詞の世界観としては冬から春に変わっていくイメージなんでしょうか。

雅功 実は、冬しか書いていなくて。

――あっ、そうなんですね。

雅功 「瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ」という好きな和歌があるんですけど、1本の大きな川があって、そこに大きな石があるんです。石があるということは、水の流れが二手に分かれるんですね。でも、石はずっと続いているわけじゃなくて、必ずまた川の流れは1本に戻る。

そういう意味の和歌をモチーフにしています。別れても必ず戻る、という意味なのですが、この歌詞自体は戻るところまでは書いていなくて。

――それはまたどうして……?

雅功 僕は極論戻らなくてもいいと思っていて。今回のワンマンライブの内容は、たまたまあの2人は戻ったんですけど、戻らない未来もあるんですよね。でもそれは悲しいことじゃなくて、それはそれで正解だって言いたいなあ、と思ったんです。

最後のほうに「止まるなこの涙」という歌詞があって、別に泣き止まなくたって良いって僕は思っているんです。その涙に意味があるし、無理に止める必要はない、っていう思いですね。

――彪我さんは、歌詞を見られたとき、いかがでしたか?

彪我 作ったメロディーを渡して、それから歌詞ができたよ、って見せてもらったんですけど……なんていうんですかね。今までのさくらしめじの楽曲って、背中を押すというか、支えるというか、そばに寄り添うよ、という歌詞は結構あったんですけど、今回の曲は雅功が言っていたように、ハッピーエンドでは終わっていないというか。

でも、ハッピーエンドで終わってないことこそがハッピーなのかもしれないし、歌詞を読んでいるだけでも、いろんな解釈ができるのはすごい。さすが作家・雅功さんだな、って。

雅功 ははは!

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