ゆうたろう 撮影:杉映貴子

明治後期、激動の時代の吉原遊郭を舞台に、花魁、桜雅(おうが)の儚く残酷な恋を描いた舞台『桜文』が9月5日より、PARCO劇場にて開幕。その後、大阪、愛知、長野と3会場にて公演を行う。

主演・桜雅役は乃木坂46のメンバーとして活躍しながら、女優としての魅力を放つ久保史緒里。そして、少女時代の桜雅(雅沙子)が心から想い合っていた相手・仙太役と、仙太と同じ目を持っている青年、若き作家・霧野一郎の二役に、注目俳優のゆうたろうが挑む。

舞台、TVドラマ、映画、ファッション・美容とジャンルを問わず活躍中のゆうたろう。舞台の見どころや自身の活動について話を聞いた。

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当時の言葉遣い、男女観を理解する事からのスタート

ゆうたろう 撮影:杉映貴子

――今日はお時間いただきありがとうございます。稽古の真っ最中だと思いますが、いかがですか?

稽古も後半戦になってきて、丁寧に丁寧に積み重ねていっている感じです。美術セットが出来上がってきて、音声さんや照明さんも入り、僕も袴姿で、本番に近い形で練習しています。

ここにお客さんが入り、全てのエネルギーがぶつかった時にどのような空間が生まれるのか、今は舞台上に立つのが楽しみで仕方ありません。

――今回の出演が決まった時のお気持ちを教えてください。

今までだと、「ゆうたろう」自身に近しい役をいただくことが多かったのですが、今回お話をいただいた時、ひとつの大きな転機になる作品だと思いました。

久しぶりの舞台ということで大きなプレッシャーもありながら、難しい役柄ですが役者として一皮むける事が出来るのではないか、頑張りたいという気持ちが一番大きかったです。

――明治後期が舞台となっていることで、独特の言葉遣いも難しそうですよね。

役作りの前に江戸の話し方、当時の男女観に理解を深めることからのスタートでした。手紙しか自分の気持ちを伝える手段がなくて、だからこそ対面した時に大きな感情がぶつかり合うのだなと。今って本当に便利な時代に生きているのだな、と改めて感じましたし、恋愛も自由ではないということに最初は衝撃を受けました。

当時の言葉遣いはもちろん、吉原が舞台ということで、遊郭とか廓とか今では聞き馴染みの無い言葉ばかりで、台本を読んでいて読み方も分からない言葉も多く、一から調べながら読み進めていきました。花魁言葉もたくさん出てきて、僕が演じた霧野という人物は、花魁の世界を知らない人間ではあるのですが、演じる上で言葉は知っておいた方が良いなと思い勉強しました。

ゆうたろう 撮影:杉映貴子
ゆうたろう 撮影:杉映貴子

――演出の寺十吾さんからはどのように霧野・仙太を演じてほしいと言われましたか?

霧野は登場人物ほぼ全員と接する役で、対峙する相手によって霧野という人物像は変わっていくんですよ。身分の違いであったり、物書きとしてのこだわりや信念があるので、シーンによって霧野の見せ方が変わっていきます。「この時はこういう心情だよね」と寺十さんに丁寧に教えてもらっています。自分も(シーンを)動かさないといけないし、動かされることもあるし、柔軟性が必要なので最初は苦労しました。

――柔軟性、臨機応変さが求められる作品なのですね。

今もセリフのカットがあったり、変更があったりしていて、本番直前、本番でも試行錯誤することがあるんだろうなと思っています。なので、役柄を自分で固めすぎないようにしています。

舞台の稽古は挑戦の連続、失敗の連続で、そういう場所なのだと。自分から色々仕掛けて「あれは良かった」「これはダメだった」と寺十さんに指摘していただいて、というのは本当に贅沢な時間だと思います。