家族全員で交通事故に遭った一家、そのせいで脚に障がいが残った父、植物状態になった母、ひとりだけ無事だったことに罪悪感を抱える長女、火傷を負った顔をマスクで隠す次女……。
不穏な空気がたちこめる“異質の謎解きサスペンス”、『この子は邪悪』で主人公の長女・窪花を演じた南沙良と、彼女の幼なじみ・四井純を演じた大西流星。
予想をことごとく覆す展開の先に衝撃のラストが待ち受ける本作を、ふたりはどう受け止めたのか。作品について、撮影現場での出来事について、話を聞いた。
正解が分からないものだからこそ家族について考えたくなる
──まずは、演じる役柄について教えてください。
南 花は家族全員で交通事故に遭い、心に傷を負ってしまった女の子です。しかも、自分だけが無事だった罪悪感を抱えていて。そういった心の傷や暗いものを、ふとしたときに表現できればいいなと思っていました。
大西 純くんも純くんで家族に問題を抱えていて、自分のお母さんの心が壊れてしまった原因を突き止めようとしています。そうしている中で、幼なじみの花ちゃんに再会して。名前のとおり純粋な子で、僕も見習わなくちゃなぁと思うくらい真っ直ぐですね。年齢は16歳ですけど大人っぽくて、尊敬する部分がたくさんありました。
──そんな花と純の再会に前後し、窪家では不穏な出来事が進行していきます。
大西 現実離れした物語であると同時に、どこか共感できる部分もあったりして。登場人物ひとりひとりのキャラクターが濃く、視点を変えて見ていただけると捉え方も変わります。人間のちょっとした生々しさやリアルな恐怖が描かれていて、新しいサスペンスなのかなとも感じました。僕らの日常でも、もしかしたら起こり得るのかなぁって。
南 基本的には、家族の物語ですしね。家族の形がいろいろと複雑化している中で、こんな家族の形や愛の形もあるんだなと感じました。いろいろな形があり、正解が分からないものだからこそ家族の定義について考えたくなりますし。そういったリアリティを、お芝居でしっかり表現したいなとも思っていました。