シリアスな芝居の合間で、ふたりにとって至福の時間だったもの

撮影/川野結李歌

──役作りで大変だったことはありますか?

花と私はすごく似ているところがあって。つらいことや苦しいことがあっても、自分の中で抑えたり、消化しようとするところが似ていたんです。なので、演じる苦労はあまりありませんでした。自分に近いものを感じたから、演じやすかったのかもしれません。

大西 ここまでシリアスなお芝居は初めてで。すごく新鮮でしたし、お芝居の新しい挑戦になりました。目の繊細な動きや表情も必要で、映画館のスクリーンからちょっと伝わるくらいの細か~いお芝居を試行錯誤しながらやっていましたね。あと、自転車で坂道を下るシーンがあって。僕は自転車に乗れないので、本番直前まで練習していました(笑)。

──印象に残っている撮影は?

家族とのシーンは、楽しい雰囲気のところもシリアスな場面もすべて印象に残っています。あと、動物が大好きなので、うさぎと戯れる撮影は心の中でウキウキしていました。ウキウキする状況のシーンじゃなかったんですけど(笑)。

大西 楽しかったですよね。ハッピーな空気感の映画ではないけど、うさぎを抱っこしているときは幸せでした(笑)。うさぎちゃんの抱き方って、意外と難しいんですけど。抱き方を気にしつつ、お芝居にも集中しつつ。休憩時間にはおやつをあげたりもしました。

撮影/川野結李歌

──かわいいうさぎが登場する一方、大西さんが先程おっしゃったようにサスペンスのテイストもあって。予想の斜め上を行く展開に突き進んでいきますし……。

説明が難しい作品ですよね(笑)。自分の考えをどんどん壊される作品だなと、私は思っていて。いろんなところから飛んでくるパンチを楽しんでいただければ。

大西 ちょっとヒヤッとしますよね。物語のスピードがどんどん速くなって、後半に行くにつれて胸の中がゾクゾクする。そのゾクゾクも嫌なゾクゾクじゃなくて、観終わった後はある意味スッキリすると思います。本当に、予想を覆すストーリーなので(笑)。