前を向いて生きるために必要なこととは

「過去と現在を切り離す」ことは不誠実ではない

過去は消えません。なかったことにはできません。どれだけ苦しんでも「不倫をしていた自分」は事実であって、変えられません。

一方で、それはもう昔であり、現在はまったく違う状況、不倫関係を自分の力できちんと終わりにして先に進んでいるのも現実です。

「元彼に未練はないのだよね?」と尋ねると間髪入れずに「はい」と返せる自分の姿もまた、しっかりと見るべき。

Aさんの苦しみや葛藤の底には、「過去を忘れてはいけないのだ」という縛りがあります。

「悪いことをしたのだから反省し続けなければいけない」と考えているのが見えました。

だからこそ、反省する力があるのなら、過去と現在は切り離すのが最善です。

「終わったことだからもういいでしょ」にしない誠実さをAさんは持っていますが、それがかえって自由に人を愛する力を奪っている状態です。本心で反省しているのなら、もう「その過去は置いておく」選択だってできるはず。

変えられない過去に悩むより心を向けたいのは現在の自分のはずで、その意思を大切にするのが今の正解ではないでしょうか。

「簡単には割り切れません」とAさんは繰り返しますが、その割り切る勇気を持つことは決して不誠実ではなく、今の自分と彼の関係を正しく続けていくための力になると筆者は考えます。

「許す」のではなく「置いておく」

過去の不倫を後悔する人のなかには、その自分を許せずにいつまでも幸せを避けることがありますが、それはいつまで続くのでしょうか。

どれくらい苦しめば、過去の自分は許されるのでしょうか。

過去はやり直せないのであれば、許すのではなく「置いておく」という考え方もできます。

反省したうえで今がある、今の好きな人との関係を大切にしたい気持ちがある、現在の幸せを選ぶのは「先に進む勇気」です。

「進むのは、私にとって間違いではないのですね」と顔を上げるAさんに必要なのは、「永遠に過去を反省し続ける」ことではなく新しい誠実さを持って人を愛する勇気。

堂々と彼に好きと伝える自分を受け入れる幸せを、もう一度考えてほしいと思います。

不倫を嫌う彼を知ったからこそ、その過去がある自分への自信を失うのは当然といえます。

それでも、過去にこだわり続ける限り誰とも幸せにはなれず、彼が向けてくれる好意まで否定するのでは、本末転倒です。

過去を置いておく勇気は、不誠実ではなく「反省したからこそ前に進める自分」を愛することなのだと、気がついてほしいですね。