地元の金融機関を選ぶ
投資を始めるに当たり、金融機関選びでまず優先して検討するのがネット証券ではないでしょうか。
例えば楽天証券であれば、楽天のサービスを多く利用している人にとってはポイ活に結びついて一石二鳥ですし、SBI証券は取り扱っている商品数がネット最大かつ手数料は非常に安いと言われています。
ですがここではあえて、ネット証券ではなく「地元の金融機関」を選ぶことをおすすめします。
突然ですが、高齢者が家電を購入する場合、対面型の電気店(いわゆる「まちのでんきやさん」)かインターネットどちらの利用が多いと思いますか?
答えは前者で、約8割の高齢者が該当するそうです。ご年配の方々が慣れないインターネットで家電を少しでも安く購入することを重要視するのではなく、商品の値段が多少高くても「まちのでんきやさん」で購入する傾向が高いのは、何かあった時に気軽に電話で聞け、すぐ駆けつけてくれるという「いつでも頼れる安心感」が得られる点にあります。
つまり、これまでネット証券で口座開設をしなかった方々は、ご自身の「心理的安全性」を重視してきた結果と考えられます。
初めての投資であれば、すぐに相談できる存在が近くにいることは大きなメリットです。手数料の安さだけにこだわらず、地元金融機関を選ぶことで、初心者でもフォローアップが受けられる環境を整えることができます。とても心強いですよね。
アクティブファンドも組み込む
投資先としては一般的にインデックスファンドを中心に選ぼう!と言われますが、なぜアクティブファンドがおすすめなのでしょうか?
アクティブファンドはインデックスファンドと異なり、ファンドマネージャーが情報収集しながら運用するため、手数料や信託報酬が高い傾向があります。しかし、投資初心者が自分軸を大切にした運用を行うためには、自分で自分のリスクにあった商品を選択することが重要になります。
「インデックスファンド」は確かに販売手数料、信託報酬が安いといえます。ですが、インデックスファンドは株価指数に連動する投資信託であり、決してリスクが取れない方が選択するファンドという位置づけではなく、またリスクの低いファンドとは言いきれません。
アクティブファンドは成長市場や割安銘柄に投資するなど、テーマに基づいた運用を行うことができます。また、アクティブファンドの運用実績もインデックスファンドを上回るものがあります。選択肢を広げ、リスクを取れる投資を行いたい方には、アクティブファンドも視野に入れることをおすすめします。
国内株式へ投資する20年間の運用実績のあるファンドで積み立てシミュレーションを行った結果があります。(銀行研修社2023.5月号)
販売手数料はインデックスファンドを0%、他を2%として試算した結果、20年後の資産額の上位100本で見ると、インデックスファンド31本に対してアクティブファンドは69本とインデックスファンドのおよそ2倍近くアクティブ投資の方が運用は上回っています。
(※すべてのアクティブファンドが、インデックスファンドを上回るわけではありません)
例えばNISAを使って30年の長期投資を行い、今の余剰資金を老後のために運用する。と言ったように、子育て真っ只中の30代~40代の方は「長期、複利」の恩恵を十分受けることのできる世代です。
その際、なんとなく低リスクそうだから…とインデックスファンドのみ購入するのではなく、よく調べ、自分が取れるリスク、自分の興味のあるテーマ(例えばSDGsがテーマの投資信託)に応じて設定されたアクティブファンドを購入してみることは長期的な視点を持って運用するに当たりとても大切です。
また、情報収集をされる際にはインターネットが中心になるかと思いますが、そういったものに100%流されてしまうのではなく、ご自身の価値観、いわゆる、他人に左右されない「自分軸」を大切にして金融機関と商品を選んでいただきたいと思います。
そして、初めて投資をはじめる際は、相談できるという点でも先ほどのポイント2であるプロの「地元金融機関」へ相談するということは有効です。その際、金融機関の担当者がおすすめのファンドを選ぶのではなく、意見を聞きながらも自分軸を大切にしたファンドを選んでいけることが大切です。
お伝えしたポイントを加味しながら、投資の3大原則である『長期・分散・複利』を行っていくことで、リスクを抑えながら安定的な運用が期待できます。人生100年時代を見据え、1日でも早くスタートできると良いですね。
【執筆者プロフィール】平野りさ
キッズ・マネー・ステーション認定講師/1級ファイナンシャルプランナー/1級DCプランナー
金融機関勤務を経て、現在は子供向け金融教育に携わっています。お金のことを知ることは、自分で決めた人生を送れる力をつけること。このことを信念に活動しています。