ザックから選手たちへのメッセージ

アルベルト・ザッケローニ監督  撮影:大崎聡

ザックの頭に、積み上げてきたパスサッカーを大会直前で諦め、超守備的布陣で決勝トーナメントへの切符を勝ち取った4年前の成功例はない。あくまでイタリア人指揮官は、攻撃的サッカーで結果を残すことにこだわる。

カテナチオの国に生まれたザックだが、守備偏重の哲学はない。守備は守るための守備ではなく、攻撃に転じるための守備である。相手ボールには前線からハイプレスで追い回す。ボールを奪えば、ショートパスを中心に、アタッカー陣が次々とスペースへ飛び込んでいく。フィニッシュを担うのが柿谷か大迫か大久保の1トップであり、本田、香川、岡崎が並ぶ2列目である。

ザッケローニ流を実践するためには、コンディション調整が最も大事となる。

「選手たちにコンセプトは伝わっている。選手たちの能力、ポテンシャルについて私は信頼している。選手たちを最高のフィジカルコンディションで、ブラジルへ連れて行く。私のやりたいサッカーをするには、フィジカルコンディションが非常に重要だからだ」

コンディションに不安が残るケガ明けの長谷部、内田、吉田が選出されたが、そこはイタリア人気質を発揮する。「合流タイミングで100%のトレーニングに臨めると聞いている。(直前合宿の)アメリカで2試合戦うので、そこでコンディションを上げていきたい。この3人に関してはたくさんの休養があった。しっかり休めている」と心配はしていない。

ザッケローニ監督は、ブラジルで戦う選手たちにこうメッセージを送るつもりだと言う。

「自分たちのサッカーをして、自分たちのクオリティを最大限に発揮してほしい」

「相手をリスペクトする必要はあるが、怯える必要はない。相手のことを意識せず、自分たちのやるべきことを考えていきたい」

そして、「選手たちには常にポジティブな気持ちでいてほしい」と付け加えた。

たとえ、グループリーグ敗退などネガティブな結果に陥っても、指揮官は「もし負けることがあったとしても、その時は素直に相手が素晴らしい戦いをしたと称えたい」と口にした。

1998年大会は初めてのW杯の雰囲気に呑まれた。2002年大会はホームの利を受け、決勝トーナメント進出を果たした。2006年は最高のタレントを揃えながらピーキングを誤り惨敗を喫した。2010年は自分たちのスタイルを捨て、結果を掴み取った。2014年、ザッケローニ監督率いる日本代表は「自分たちのスタイル」と「結果」という二兎を追う。これは日本代表の初めての挑戦である。


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あおやま・おりま 1994年の中部支局入りから、ぴあひと筋の編集人生。その大半はスポーツを担当する。元旦のサッカー天皇杯決勝から大晦日の格闘技まで、「365日いつ何時いかなる現場へも行く」が信条だったが、ここ最近は「現場はぼちぼち」。趣味は読書とスーパー銭湯通いと深酒。映画のマイベストはスカーフェイス、小説のマイベストはプリズンホテルと嗜好はかなり偏っている。