台湾一周グルメ旅も後半に突入。
第二の都市・高雄エリアから北上を続け、台南にさしかかる。
台南の人々は、台湾のなかでも食事、とくに朝食を大事にすると言われている。
暑い地域なので体力を消耗しやすい。早朝の凉しい時間帯に流通し始める新鮮な食材で一日のエネルギーを摂取しようという人が多いのだ。
その象徴が台湾では豚肉と比べると高価な牛肉を使った牛肉湯(スープ)だ。
ところが、台南名物の牛肉湯発祥の地は台南の中心地ではなく、市街地から少し離れた「善化」というエリアなのだと聞いた。
今回は何度も訪れている台南駅を飛ばし、岡山駅から各駅停車で善化を目指す。
台南を飛ばして牛肉湯の町、善化へ北上
ここ数年でリニューアルを終え、立派になった台鉄駅は多いが、善化は地方のごく小さな駅だ。
それでも、台南に住む友人の話だと近代化が急速に進んでいるという。
確かに真新しい学習塾や大型スーパーのチェーン店をいくつも見かける。
駅から少し離れたところにはタワーマンションのようなものが工事中だ。
しかし、高層ビルを見上げるようにして道路沿いに建ち並ぶのは、かなり古い鉄筋や木造の建物群。
よく見ないと気づかないが、善化駅から西にのびる中山路沿いは、「老街」と呼びたくなる旧建築物の宝庫だ。
老街といえば、台北では迪化街がその代表格だが、ここ善化の老街はあまり手入れがされていないので、崩れ落ちそうになりながらそのまま頑張っている印象だ。
そんな老街をしばらく歩くと、この街の守り神のような廟がひょっこり現れた。
大きな広場の奥にたたずむ、鮮やかなオレンジ色の屋根瓦。「善化慶安宮」だ。規模こそ小さいけれど、長い歴史とこの街を見守ってきた風格がある。
台南は古都として知られているが、ここ善化の廟も300年以上の歴史を誇っている。
今は参拝者も少ないが、開発が進んだ台南の他のエリアよりも、こんなふうに自然に時を重ねた廟や老街のほうが美しいと私は思う。