人はみんな“認めてもらいたい生物”です。それは子どもも同じこと。良いことをしても親が気付いてくれないと、問題行動を起こして叱られる形でもいいから「認めてもらおう」と必死になることがあります。
子どもをいくら叱っても問題行動が改善しないときは、いっそ、その行為を無視した方がうまくいくことがあるんですよ。
『「テキトー母さん」流子育てのコツ』の著者の立石美津子が詳しくお話しします。
同じ行動でも、意味合いが違う2パターン
子どもの問題行動には2つの側面があります。
1.やって良いことと悪いことを理解できていない
やって良いことと、悪いことをしつけられていないために、問題行動が起こっているケースです。
例えば、保育園で制作のための材料として与えられた新聞紙は破ってもよいけれども、家にある新聞紙や雑誌を破ったり踏んづけたりすることはいけないこと、場によって違うことなど誰かが教えていなければ、伝わらないのです。
2.計画的に悪い行動をあえてしている
“やってはいけない行動”であることを子どもはわかっている、けれども、それをせざるを得ない状況に追い込まれている、そんなケースです。
これって一体、どういうことなんでしょう。詳しく見ていきましょう。
子どもの心理
親が忙しいときに限って余計な仕事を増やす
人間には「誰かに認められたい」という“承認欲求”があります。
第四階層である「承認欲求」(他者から認められたい、尊敬されたい)欲求です。(参照「マズローの5段階欲求」)
まず身近にいる人から認められたい、特に子どもは親に認められたいと思っています。何とか関心を自分に引き寄せようとして、必死に自己アピールします。
ママが忙しくしているときに限って、わざと牛乳を零したり、時には本当に体調を崩してしまったり。「こういう日に限って、なぜ!」なんてこと、ありませんか?
これは暗に、子どもが親の関心を引こうとして無意識に行っていることなのかもしれません。
下の子が生まれて、赤ちゃん返りする上の子の態度も同じ心理かもしれませんね。
追いつけないと悟ったとき、方向転換してしまう
更に「親に認められたい」という気持ちがこじれた行為に発展することがあります。
それは次のようなケースです。
- 子どもの能力や特性を無視して、親の期待が高すぎる
- 常に周りの優秀な友達や兄弟姉妹と比較して育てられている
こんな家庭で育っている子どもは、どんなに頑張っても努力しても、そのハードルが高すぎるため親の要求通りには出来ません。頑張って良い子にしていても、親があてがう物差しは常に最高の理想の子ども像のため追いつくことができません。無視される状態に置かれます。
これを悟ったとき、子どもは次のように発想の転換をしてしまうのです。
「どんなに良い子にしていても、頑張ってちょっと出来るようになっても、僕には褒められたり、認められたりする日は永遠に訪れない。だったら、反対に大人が困ることをして自分に関心を寄せよう」
つまり、「100点に近づくよりも、0点近づく方が手っ取り早い」ことに気が付くのです。
実際、態度を悪くすれば大人は自分に対して注意を向けてくれるわけですからね。そして、わざと大人の手を煩わせることをします。