そうなんです。その制度ができて、移籍や兼任が発表されても、本人の意思で組閣先へ行かなかった子もいます。

大人たちが、48グループを盛り上げるために、組閣のような楽しいことを考えてくれているのはわかります。「どこにいても、がんばればいいじゃん!」って、言われるのもわかります。

でも、48グループから一歩、外に出てわかったことがあるんです。

グループのなかにいる子たちは、自分の夢があったとしても、今、自分がいる環境を踏み台にして頑張ろうなんて思いもせずに、そのときは戦っているんです。48グループにいると、

「自分がそのなかでどういられるか」

「総選挙でこの人よりも上の順位にいきたい」

「何位になりたい」

とかあると思う。でも、正直にいうと、グループから外の世界に出てしまえば、誰が何位であろうとまったく関係ないよって、思うんです。

グループのなかにいるときって、外からの大人の意見とか、プロデューサーさんたちが言ってくれる言葉に対して、「ありがたい」っていう気持ちが、生まれてこないときもあるんです。

やっぱり、外に出てみないとわからないことって、たくさんあります。

組閣も、今からしてみれば、面白いことをしているなと思うんです。チームの中の空気を入れ替えないと、やっぱり飽きてしまうと、今は思えるんです。

でも、彼女たちは、決められた16人でずっと頑張ってやってきているわけだから。それを突然崩されて、AKB48にいた子が違う地方に行くとなったら、それはやっぱり、ラッキーだなんて思えないよなって。

私が、組閣で迷いもなくSKE48に行けたのは、「中国のステージに立つ」という自分のなかの目標を終えたし、デビューして8年目入ったときで、もう卒業が目の前に見えてきているときだったから。迷いはなかったんです。

当時、AKB48に帰ったとしても、もうすでに3年くらいAKB48を離れていたから、自分が以前いたときとは、違う居心地になってしまっているだろうし。そう思ったから、最後はSKE48でいこうと思えたんです。

そのときは、もう、今と変わらない目線で組閣を見られていたから、SKE48に行くことを覚悟できた。

だけど、それをできない子だって、やっぱりいるよなぁって、本当に思います。

ーー佐江ちゃんが、「アイドルをしぼり出す」と言ったのは、SKE48のときでしたね。(第74回)

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