子どもに対しては

良好な人間関係を築くため、「子どもなんだから仕方がない」と放っておくわけにはいきません。そして、失言が子どもの口から出たとき、相手がいる前ではなかなか叱れません。

ですから、出かける前に次のように話をしておきましょう。

  • 「相手のお家にお邪魔したとき『狭いね・汚いね』と思っても、声に出してはいけないよ。心の中で呟いていようね」
  • 「ご馳走になったとき『まずいね』とか『美味しくないね』と言ってはダメだよ」

4歳までは相手の立場が分からない年齢です。「相手が嫌な気持ちになることを言ってはダメだよ」では通じませんので、具体的に“どんなことを言ってはNGなのか”を伝えましょう。

筆者の知人の子の話ですが、親が子どもに何度も注意していたら、「ママ、太っている人の前で『太ってる!』って言っちゃあいけないんだよね」とその人のいる前で言ってしまいました。

「本人がいるところでは、ママに注意されたことを口にしてはいけない」まで言わないと分からない子どもだったのですね。

親の影響を受けるケース

子どもを褒めたり、しつけたりするとき、友達を引き合いに出して次のように言っていると…

  • ×「○○君はお行儀が悪いね。真似をしてはだめよ」
  • ×「○○君はしっかりお勉強をしていなかったから不合格になったのね。その点、あなたは日頃から頑張っていたから合格出来て良かったわね」
  • ×「○○ちゃんはお友達に意地悪ばかりしているみたいね。真似をしてはだめよ」

子どもは「『○○君の真似をしてはダメ』とママが言ってた!」とその言葉をそのまま口に出してしまうかもしれません。

更に我が子を誉めるにしても、誰かと比較して誉める言葉をかけていると、“人と比べて自分はどうか”だけで良し悪しを評価し、また、自分より出来ない人を見下す鼻持ちならない大人に育ってしまう危険もあります。

「思いやりの心を持ちなさい」「優しい子に育ってほしい」と言いながら、親のしつけ方は真逆のことをしているのですね。他の子と比べてどうこう言うのは止めた方が賢明ですね。

小学生になっても、自分の思ったことを口にしてしまうのは

4歳くらいになってくると“心の理論”と言って、相手の気持ちに立てるようになります。成長と共に、いちいち教えなくても言っていい相手、悪い相手、言っていい場所、悪い場所などがわかるようになってきます。

ところが、小学生になっているにも関わらず、相手が気分を悪くすることがわからず、思ったことをそのまま言ってしまう場合は、もしかしたらコミュニケーション障害、社会性の障害がある発達障害の代表である“自閉症スペクトラム”かもしれません。

空気を読むことができないので失言も多くなりがちです。相手の気持ちを理解する“心の理論”の獲得が遅れているのです。

でも、これは本人が性格が悪いとか努力不足なのではなく、生まれつきの脳の機能障害なので親がしつけてもなかなかうまくはいかないこともあります。

この場合は療育機関に通いSST(ソシャルスキルトレーニング)などを受けることにより学習していくことができます。

子どもは素直で可愛いものですが時に残酷です。相手にとって酷な言葉を言ってしまうことがあります。年齢に応じて、人との付き合い方を少しずつ教えていくようにしましょうね。