2.愛情を注いで、できるだけ叱らない

評価できる点

井上「親からの十分な愛情は、子どもの安心感・自己肯定感の土台を築きます。16カ国を対象として行われた大規模調査でも、親の温かな養育態度と明確な受容は子どもの社会性や自信、情緒の安定に好影響を与えることがわかっています。

実際、親からの十分な愛情とサポートを感じて育った子ほど、対人スキルが高く自己肯定感が高い傾向があります。

叱るよりほめる比率が高い家庭では、子どもは安心して新しいことに挑戦でき、人に愛情や思いやりを示す『愛される人格』も育まれやすいでしょう」

おすすめの方法

井上「叱らないことを重視するあまり、しつけやルールをしっかり子どもに教えない場合、いわゆる甘やかし子育てになる恐れがあります。そのため、愛情とルールのバランスを取った関わりが理想です。

基本は子どもへの深い愛情と肯定を示しつつ、守るべきルールや社会のマナーは一貫して伝えましょう。

例えば危険な行為や他人を傷つける言動には、毅然と『それはしてはいけない』と伝えることが大切です。その際も頭ごなしに叱るのでなく、なぜそれが良くないのか、どうすれば良かったのかを子どもに考えさせる対話的なアプローチが有効です。

親が共感と温かさを持ちながらルールを理解させ、守らせることを一貫して継続することで、子どもは愛情を感じつつ社会的な規範も身につけていきます」

3.小学校3~4年生くらいまではとにかく自然の中で遊ばせる

評価できる点

井上「小学生のうちに自然の中でのびのびと遊ばせることには多くの恩恵があります。外遊びや自然体験を豊富にする子どもは、創造性や探究心が高まり、五感を使った経験から学ぶ力が育まれます。

イギリスやポルトガルなどの複数国で構成された国際的な研究チームが行った研究でも、幼少期の自然遊びは子どもの認知能力・社会性・情緒の発達にプラスの効果をもたらしうるとされています。

自然の中での自由な遊びはリスクへの対処能力を養い、自信やレジリエンス(困難へ立ち向かう力)の向上にもつながることが報告されています。

自然の中での遊びを通じて小さな挑戦と成功体験または失敗体験を積むことで、協調性や問題解決力などの非認知能力の成長も期待できます」

おすすめの方法

井上「自然遊びばかりでまったく勉強の習慣がないと、いざ高学年で勉強量が増えたときに子どもが戸惑う可能性もあります。また、安全面の配慮や継続的に自然体験のできる環境整備も課題です。

そのため、自然体験と学びを結びつけるアプローチがおすすめです。例えば森林や公園で遊ぶ際に、植物や昆虫を親子で観察して図鑑で調べてみる、キャンプで星座を探してみるといった具合に、遊びの延長で知的好奇心を満たす工夫をします。

これは自然遊びの楽しさを損なわずに「考える力」や「知的好奇心」を育むことに繋がります。

重要なのは子どもが自然の中で好奇心を存分に発揮できるよう大人は環境を整え見守ることであり、学びはその副産物としてついてくるというスタンスです」