ないわけではない、価値観の違い
――共有している価値観などはありますか?
鈴木「僕が大事にしているのは、とにかくいろんな大人に会わせることなんです。職業柄、まわりにおもしろい大人がいっぱいいるんだから、もったいない。それは妻にも話しましたし、妻もけっこういろんなところに息子を連れて行っていると思いますね。
自分が子どもの頃、家が店をやっていて、親戚や近所の大人が頻繁に出入りするような環境だったんです。それで、大人と遊ぶのがすごく楽しかったんですよね。毎日が社会見学みたいな感じでした」
――いろんな大人を見ることで、多様な生き方があることがわかりますよね。逆に、子どものいない人には子どもと接する機会になりますし。
鈴木「やっぱり、人がいちばんおもしろいじゃないですか」
――逆に、一致しない価値観はありますか?
鈴木「妻は、食や健康に関しては気をつけていますね」
――4歳まではチョコレートは食べさせたくない美幸さんと、息子さんの笑顔に負けてチョコレートを与えてしまうおさむさんのエピソードが、本には載っていましたよね。
鈴木「この間は、映画館では”トーマス“しか観たことのない3歳の息子と、”ジュラシック・ワールド“を観てきました。妻に聞いたら、大丈夫かなあとは言いましたが、ノーとは言われなかったので、あえて挑戦してみるか、と。
妻はなんでもわりと慎重派なんです。妻がノーということはしませんけど、僕はわりと踏み込んじゃうんですよね」
――息子さんの反応はいかがでしたか?
鈴木「2時間以上あるんですけど、途中声を出して僕に質問してきたのは2回だけ。その後、映画館を出て、ポスターを観て怖かったと号泣していました」
――がんばってたんですね~!
夫婦円満のコツとは?
――美幸さんが撮影で長期間、家を空ける前などは、かならず“愛しているよ”と伝えるのだそうですね。
鈴木「人生なにが起こるかわからないですからね。それは必ずそうするようにしています」
――普段から、そういった言葉は口にされるのでしょうか。
鈴木「いや、普段は言いません(笑) 長期でいない仕事の前とか、ポイントポイントで言いますね」
――そういったやりとりを、息子さんはちゃんと見ているんでしょうね。
ベタなことをお聞きするようですが、夫婦円満のコツを最後にお聞きしたいのですが・・
鈴木「やっぱり話し合うことじゃないですか? たとえば、目の前でひとつずれてきたことに対して、ずれてきたと感じた時点で話すんですよ。あとまわしにすると、ずっと話さないですよね」
――それができないから苦労している人が多いのだと思うのですが(笑)
鈴木「小さな不満とか、そういうことのひとつひとつを話し合うしかないんですよね。話し合わないと、話すことがめんどうくさくなるからどんどんずれが大きくなっていくんですよ」
――話し合いが言い合いみたいになってしまうことが面倒で、話さない夫婦は多いですね。
鈴木「だったら、会議だと思ってやったらいいと思います。仕事で会議するのと一緒で、夫婦で会議を開くんです、毎日」
――それが成り立つにはお互いへのリスペクトが、ずっと変わらずあるからなんでしょうね。
鈴木「それはもちろんありますね。芸人として、子どもの母親として尊敬していますし。
それとは別に、ゴミ出しのひとつにしても、なにかずれを感じたら、早めに話し合うことですね。火は小さいうちに消すというか」
家族への愛やリスペクト、毎日顔を合わせていると、つい忘れてしまいがちですが、大切なことですよね。
鈴木おさむさんから聞くご家族の話は、とりたてて珍しい話というわけではなく、ていねいに日々を送っていることが感じられるものでした。
【取材協力】鈴木おさむ
鈴木おさむオフィシャルブログ 「放送作家 鈴木おさむのネタ帳」