「働くこと」が「喜び」につながる仕事をしよう
現役引退後も働くことによる経済的安定は確かに重要ですが、せっかく現役時代のプレッシャーから解放されたのですから、老後の仕事は「お金のためだけ」であってはもったいないのではないでしょうか。
本来、『働くこと』は『楽しいこと』であるべきだと、私は考えています。
セカンドキャリアの仕事選びは、現役時代とは価値観を大きく変える必要があります。重視していくべきは「お金の満足度」ではなく、「心の満足度」です。
では、その「満足度」はどこから得られるのでしょうか。3つの視点をご紹介します。
1.「経験」を活かす視点
現役時代に40年近く培ってきたスキルや経験、人脈は、他ならぬ財産です。経理や総務、営業、専門技術などを長期にわたり担当していたのなら、そのスキルを求める中小企業や個人事業主は必ず存在します。
例えば、週に1度だけ訪問して経理のチェックをする、若いスタッフの相談役になる、といった「顧問」的な働き方を、知り合いを通じて探してみるのはいかがでしょうか。
このようなコンサルタント的な働き方は時間あたりの給与も高く設定されやすく、何より「頼りにされている」という強い自己肯定感を得られます。
2.「好き」を仕事にする視点
現役時代は忙しくてできなかった趣味を、少額でも収入の得られる仕事にしてみるようチャレンジするのも素晴らしい選択です。
ガーデニングが好きなら、ホームセンターの園芸コーナースタッフや野菜などの直売。料理が好きなら、地域の料理教室のアシスタント。パソコンが得意なら、シニア向けのスマホ教室の講師など。
収入は前述のパートタイムと変わらないかもしれませんが、「好きなこと」に没頭し、それが誰かの役に立って賃金になるという経験は、お金以上の喜びを与えてくれるはずです。
3.「社会貢献」を実感する視点
大きな儲けにはならなくとも、「誰かの役に立っている」「社会とつながっている」という実感が、日々の張り合いになる仕事もあります。
シルバー人材センターでの地域の美化活動や、学童保育での子供たちの見守り、図書館での本の整理など。
こうした仕事は、私たちに「社会的な役割」を再認識させてくれます。
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現役引退後の働き方は、「義務的な労働」だけではありません。収入を年金だけに頼らない経済的安定を確保しつつも、それ以上に「社会的な役割」「自己肯定感」「日々の張り合い」を得るための、人生の新しいステージです。
「働かされている」のではなく、「自ら選んで働いている」「好きなことを通じて、稼ぎを得ている」と実感できる、主体的な意識の転換こそが、長く続く老後を豊かに楽しく生き抜くための、きわめて大事なポイントになるのではないでしょうか。
【執筆者プロフィール】
山田圭佑(KYお金と仕事の相談所所長)
キッズ・マネー・ステーション認定講師、国家資格キャリアコンサルタント、ファイナンシャルプランナー技能士2級・AFP、琉球古典音楽野村流伝統音楽協会歌三線師範、八重山古典民謡保存会歌三線教師
東京都出身。大学入学と同時に沖縄県へ移住。大学卒業後、沖縄県庁にて18年間奉職した後にキャリアチェンジ。現在はフリーランスのキャリアコンサルタント・ファイナンシャルプランナー・歌三線師範として幅広く活動。2022年7月に「KYお金と仕事の相談所」を開設。所長を務めている。



















