産後0~2年の間に離婚してしまう確率が3割にも上るという厚生労働省のデータがあります。このような状況をNHKの情報番組が“産後クライシス”と呼び始め、この言葉がメディアを騒がし始めました。
クライシス(“crises”)は“危機、決定的段階、重大局面”ですから、産後クライシスとは、“産後に訪れる夫婦の危機”という意味合いが込められた造語です。なぜそのようなことが起こるのか、そのクライシスをどう乗り越えれば良いのか、妻側から考えてみましょう。
“イクメン”ブームが産後クライシスに拍車をかけてる?
赤ちゃんが生まれる前は、夫婦2人で自分やお互いのために時間を費やしてきたのですから、赤ちゃんが生まれてまず、お互い相手が変わったと思ってしまいます。
しかしその理由が異なるから問題です。妻は、「世の中の旦那様は皆“イクメン”なんだから、もっと育児に参加してよ!」と思っています。夫は、「赤ちゃんができてから妻が変わった。優しくなくなった!」と思っています。
こんなふうに、妻はママ目線からパパとしての夫を求めているのに対し、夫はまだパパの自覚に乏しく、妻の意識が自分から子供に移って夫婦関係が変わってしまったことを寂しく思って悩んでいたりするのです。この夫婦の視点のズレが、夫婦に亀裂を生んでいるのです。
雑誌やメディアで紹介されている“イクメン”夫は、標準であるという意識が世の妻たちに、夫に対する評価を低下させてしまったのかもしれません。しかし、雑誌やメディアで紹介される“イクメン”の夫たちは、初めからこんなに優秀なイクメンであったわけではないのです。
ママの大先輩である母親から教わったり、産婦人科の母親・父親学級に妻と一緒に参加して、専門家から話を聞いたり、あるいは産後クライシスを乗り越えた経験から、妻の大変さを理解した夫たちのなせる技なのです。つまり、教育されたイクメン達だったのです。そのことに気づいていない妻たちが多すぎるかもしれません。