※本記事は2015年4月の「はまれぽ」記事を再掲載したものです。

「美味しいって言ってもらえるなんてほどの幸せはないですよ。それが一番幸せ」

洋食の街、横浜。変わらない、穏やかで、それぞれの確かな思い出がつまった横浜の洋食の味。そして、その文化。
美味しい、嬉しい、いつもそばにある洋食を支え続けるコックさん。横浜が日本に、世界に誇る「横浜の洋食」を作るコックさんを、横浜の国宝としてその1日に密着し特集する「横浜コック宝」。

今回は、福富町「レストラン タマガワ」から愛すべきコック宝を選出。
純粋にも、こだわるにも、ぼやくにも、洋食にも、手を抜くことをしないコック、小澤栄太郎さんの1日に密着し特集。

コック宝の1日

取材交渉の際、最初の電話は繁忙もあり「明日電話くれる? ごめんなさい」と丁寧に一方的に終話。翌日あらためて取材交渉の連絡を入れる。小澤さんは「え!? なに!?……コックのってねぇ……えー!?……あはは(笑)」

忙しいと話もする時間もないけど、迷惑になるかもしれないけど、それでもいいなら来てくださいとのこと。約束の日時、午前10時の少し早めに店へと向かい、コック宝がやってくるのを待つ。

待つこと数分、小澤さんが登場。
おはようございます。昨晩、深夜1時を過ぎてから店を出たという小澤さん。少々お疲れの模様。お店に入り、密着開始。

ところが小澤さん、のんびり新聞を読みはじめる。くわえて「三面記事を読むんです、店では。ほかは家で見てきたんで」という、独自のルールをのんびり、何かをぼやきながら展開。

開店前は仕込みに追われるのが今までのコック宝。小澤さんはというと「必要な仕込みは前日にね、仕込んどく。でも、今日の方がいいやつは今日やる。朝より夜の方が集中力あるんでね。だから昨日も深夜まで厨房にいたんですよ」とのこと。

新聞を読み終え、仕込み開始。
店に入り新聞を読んで一息。それから10時半を過ぎたころから仕込みと開店準備が始まった。

ところで、なんでしょう。肉をいきなり持ち出す小澤さんのこの風合い。あれ、もしや……ちょっとアレかなと思いつつ取材。いやはや、つかみどころ、ほぼなし。笑ったり、ぼやいたり、大丈夫かな? というのもそこそこに。いや、なかなかに。しかし、それは営業が始まるや否や、解消されることになる。それは、のちほど。