「自分はできる!」という成功体験

では、このマシュマロ・テストはどんな意味をもつのでしょうか。

薄々おわかりかもしれませんが、マシュマロ・テストで成功した子どもたちは、その後の追跡調査で学業において良い成績をおさめたり、対人関係も良好である割合が多いそうです。
つまり、幼児期から自分を律することができる子どもたちは、その後の人生においても、その自制心が大きく有利に働いていることを示しています。

また、「自分はできる(努力できるし、粘り強く取り組めるし、ポジティブな結果を生み出す行為者たりうる)という子どもの自己認識は、成功を助ける自制スキルによってはぐくまれる」(第八章 成功の原動力--「できると思う!」より引用)とあるように、子どもの成功体験は自信や満足感につながり、次の成功を生むとされています。

幼児期からできる自制心の育て方

では、「このテストで我慢できなかったらうちの子はダメなの?」なんて思う方もいるかもしれませんが、その心配はありません。なぜなら、自制心は育たてられ鍛えられるものだからです。

本著でも「子どもでも大人でも自制心を育むことは可能」であるとして、幼児期における自制心の育て方についても触れています。ただし、そのためには親の子どもへの関わり方が大きい要素を占めているのです。

【幼児期から自制心を育む方法(本著より抜粋)】

・親子ともにストレスレベルを低くしておく(子どもをストレスにさらさない)
・「自分に選択肢があり、それぞれの選択には結果が伴う」ということを学ばせる
(自分の行動次第で、良い結果にも悪い結果にもなる)
・子どもを支配しない(親の欲求ではなく子どもの欲求に耳を傾ける)

いずれも簡単なようでいざ実行にうつすのはなかなか難しい、特に母である自分にとっては耳に痛い話ばかりです。

今回、『マシュマロ・テスト』を読了し、実験を行ってみて、この“自分を律する”力は、子どもたちだけでなく親である自分にこそ必要なものだと改めて痛感しました。

欲望を活性化させ、その場の衝動に従いたくなる“ホットシステム”の対局には、気持ちを落ち着かせ、冷静に判断する“クールシステム”が存在します。いわば、アニメや漫画に出てくる悪魔と天使と考えるとわかりやすいでしょう。

ただし、ホットシステムは完全なる悪ではなく、直感的な判断を下してくれるため、危険を察知した際のとっさの行動といった、役に立つ判断をしてくれる場合もあります。残念なことに、その判断が往々にして間違っていることが多いため、ホットシステムに従うのは得策ではないとも言えます。

親子ともどもこのクールシステムとホットシステムと上手くつきあい、自制心を育み、成功体験を重ねていきたいものです。

皆さんも、我が子の傾向を知るため、マシュマロ・テストを行ってみるのはいかがでしょうか? ただし、どんな結果になっても、ホットになりすぎないようにご注意ください!