太田光が子どものときに夢中だったこと
――他に太田さんは、子どもの頃、どんな子どもでどんなものに夢中になっていましたか?
漫画やアニメ大好きだったね。そう、もうひとつ、子どもが見れた映画がディズニーだね。
『白雪姫』や『101匹わんちゃん』とか『わんわん物語』。
あと『ダンボ』も見たね。いやぁ、『ダンボ』の実写化って何なんだっていう…。
――それは別の会社の作品ですので、そのへんで…(苦笑)。
おふくろがね、大好きだったんですよ。寝る前に必ず『くまのプーさん』を読んでくれて。そういう環境で育ったから物語が好きだったね。
――映画にはお母さんと一緒に?
だいたい夏休みに友達で相談するんです。
行くとなったら母親が友達を一緒に連れてってくれるんで「お前んとこは『東宝チャンピオンまつり』をねだれよ。俺は『東映まんがまつり』を頼んでみるから」って(笑)。
――いま、それこそ子どもたちもスマホなどにより、動画や“コンテンツ”に触れられる機会は増えたかもしれませんが、一方で本を読むという習慣や長い物語をじっくりと楽しむということは身に着きにくくなっているのかもしれません。
どうなんだろうね? スマホがどう影響するのかは、わからないけど…。
やっぱり『長靴をはいた猫』にしろ『空飛ぶゆうれい船』にしろ「どうなるんだろう」ってワクワクしたし、TVでも「世界名作劇場」とかをやってて、そういう作品が文学への入口になったというのはあるよね。
そこから学級文庫で「宝島」を読んだり、「トム・ソーヤの冒険」を読むようになったり。
――爆チュー問題として、子ども向けの番組に出演もされていましたが、大人を相手にするときと子どもたちを対象にする時とで意識して何か変えたりはしているんですか?
俺らは何も変えないんですよ。別にほっといても俺らは「ウンコ」とか言うしね(笑)。
結局、自分たちが面白いと思うことしかできないし「○○向け」という感じでやると、お笑いってたいてい失敗するんです。
例えば「今日は関西だから、関西向けのネタやるかな」なんて色気を出しても見透かされて失敗するし、女子高生の前で新しい、知ったようなこと言うとしらけられちゃう。
やっぱり自分たちが面白いと思うことするしかないんです。
爆チュー問題なんかはそれこそ「子どもが見てもわかるわけないだろ!」というネタをやってるけど、親がそれを見て笑って楽しんでると、子どももうれしいから喜んでくれるんだよね。
わかんなくても、親が面白がってるのがうれしいし、楽しいんだね。
――子どもは、大人からしたら「これはちょっと難しいんじゃないか?」と思うことを意外とちゃんと理解していたり、完全にはわからなくとも、ちょっと背伸びして面白さを理解している部分もありますよね?
それはあるよね。俺らが、子どもの頃「ゲバゲバ90分」(※巨泉×前武ゲバゲバ90分!)ってやってて、あんなのほとんど大人向けのギャグだったけど、面白かったもん。
爆チュー問題とかは「え? ここで反応が来るんだ?」とか意外なこといっぱいありましたね。大人ななら何でもないようなところなのに食いついてきたり。
こっちが気づかないようなことで笑ったりしてくれるというのはありました。
“ジェネレーション・ギャップ”を感じたりすることは?
――子どもに限らず、仕事で親子ほど年の離れた若い世代とご一緒する機会も多いと思いますが、いわゆる“ジェネレーション・ギャップ”を感じたりすることは?
世代のせいなのかわかんないけど、バカだなと思うことはあるね。
いや、それは単にそいつがバカなんだからしょうがないんだね、世代の問題じゃなくて(笑)。
でも確かに、僕らの世代よりは、「世界名作劇場」みたいなものとか、文学や名作映画を見ていない若い連中は多いかもしれない。
「もっと見ろよ」と思うけど。
――逆に若い世代の発想に驚きや刺激を受けることも?
ありますね、それは。お笑いも若手はものすごくうまいですし。
カルチャーで言っても、俺らが中学生の頃にアニメの「宇宙戦艦ヤマト」が夕方5時に再放送されて、ドンピシャで夢中になったんです。
あれを見て「あぁ、デスラー総統って悪いヤツってわけでもないのかもしれない」とか思ったり、「悪人は悪人」ってわけじゃない、あの作品はいままでのアニメとは違うんだっていうある種の入口だったのかなと思います。
そこから「ガンダム」、「エヴァンゲリヲン」っていろんな子ども向けとは限らない作品が出てきて、いまじゃいろんな哲学的なアニメがあって…。
そうなると子ども的にはどうなんだこれ?って思う部分もあるけど、でも同時にアニメーションを若い世代が、単なる子どもが見るってだけではない、世界で見られるようなものにまでしていったというのは、すごいなと思いますね。
でも一方で「東映まんがまつり」がまた始まるって知ると、子ども向けのそういう作品ももっと残しておいてほしいって思うよね。あぁ、こういう作品、いいじゃんって。
子どもは無条件でおしりやオナラが好き
――先ほど「子どもは無条件でおしりやオナラが好き」とおっしゃっていましたが、それを逆手にとって「うんこドリル」がヒットしたりもしています。
「うんこドリル」が受け入れられてるんだもんね。
俺らの頃は、ドリフでカトちゃんが「うんこ」だ「ちんこ」だのって言ったら「あんなの見ちゃいけません!」って言われたけどいまは親が案外、受け入れてるのが面白いよね。
俺らの頃はドリフもそうだし、漫画でも「トイレット博士」とか「がきデカ」は下品だったよねぇ。いまは「おしりたんてい」をEテレでやってるんだから。不思議なもんだね。
子どもは「見るな」と言われると余計見たくなる
――とはいえ、親御さんの中には「おしりたんてい」と聞いて、子どもに見せるのを躊躇したり「せっかく見たり、読んだりするならディズニーアニメやジブリ、『100万回生きたねこ』のほうが…」と思ってる人も多いかもしれません。
どうなんだろうね? それこそ「おしりたんてい」なんか、まさにそうだけど、俺らが子どもの頃に大人から「ダメよ」って言われてたものと比べると、全然きれいで上品だと思うけどね。
たとえ(多少、下品な要素の入った)そういうものであっても、子どもは「見るな」と言われると余計見たくなるし、無理だよね、フタをしちゃうってのは。
いま、世の中がいろんなことに厳しくなって、下ネタに関しては俺もよく叱られるんだけど、それで全部、無菌状態になったらこの先、どうなっちゃうんだろうとはよく思うよね。
だって女性に「きれいだね」と言ったらセクハラになるところまで既にきてるでしょ? え? そんな世の中、あり得るのか? という感じだけど。
だからむしろ、そういうもの(=きれいな部分ばかりではない作品)を見て、それが根っこにある子どもたちがが「そんなのバカバカしいよね」と言ってくれる大人になってくれたらいいよねと思うね。