フェチとは何か? 現在のフェチ界隈の動向は?
――今回の作品展もフェチな部分が大きいかと思うのですが、現在のフェチ界隈の動向はどうでしょうか?
アートから見たフェチに限定するならば、以前に比べて、表現がしやすくなってきたと思います。どんな作家でもこだわりがあるので、フェチな部分はあります。それが、強く全面に出ているか、微弱なものなのかの違いがあるので。
以前は、こういった表現は素性を隠してやることが多かったのですが、今の若い方だと比較的強く全面に出ている方が多いのかなと感じています。
――ヴァニラ画廊さんが考える「フェチ・エロス」とは何だと考えますか?
エロスとは、生きる根源の一つだと考えます。フェチとフェティッシュは厳格に言えば違うのですが、エロスに対するスパイスの様なものでしょうか。
――そこから、バービー人形から感じる「フェチ・エロス」とは何だと考えますか?
オリビエさんはバービー人形のどこが良くてこういった作品を作っているのかということについて、何にでも成り得る非常にフラットな存在だからと言っていました。ただ、彼自身は自分自身が一番好きなので、バービー人形を分かりやすいアイコンとして使っていたとしても、エロスの対象としては見ていません。
また、人形だと日本にはリカちゃん人形やフィギュアがあります。性の目覚めの時に、お人形遊びをしている方も多いのではないでしょうか。その広い意味でのお人形さん遊びという意味で、オリビエさんの作品に何か感じるものがある人は、自分の根源的にある「フェチ・エロス」といった部分が刺激されているのかなと思います。
バービー人形も皆同じ顔をしていても、私にはそこには感情がある様に見えました。
また、自己に対するナルティシズムとバービー人形のフェティシズムが渦巻くオリビエさんの作品の数々に対して、憧れと強いこだわりを感じました。
私も小さい時、人形遊びがとても好きでした。その時、無意識のうちに、自分だけの楽園を私はそこで作っていたのかもしれません。
それを作品として、作り続けるオリビエさん。それに対して、今回私は憧れを抱き、そして自分の根底にある「フェチ」が揺さぶられたのでした。
現在は「ライチ☆光クラブ」などで知られる古屋兎丸さんの展示会を開催中のヴァニラ画廊。
自分の根底が揺さぶられる数々の展示に、是非足を運んでみてはいかがでしょうか。