新1年生として入学してくる鏑木一差(椎名鯛造)と段竹竜包(植田慎一郎)も個性派のキャラクターだ。社会人に混じってチームで走ってきた二人は、勝利への貪欲な欲望を持っている。
特に鏑木は、前年インターハイ優勝の小野田に憧れを持ちながらも、小野田を抜いて自身の実力を証明することに情熱を燃やしている。「この年で高校生役をやることになるとは……」と苦笑していた椎名だが、そのパワフルな演技は自信家でバカっぽい高校1年生・鏑木一差を舞台上にしっかり出現させていた。
さらに、小野田たちの同級生として以前から原作には登場していた杉元照文(山本一慶)、その弟として新入学してくる杉元定時(中村太郎)などの新登場メンツも、新しい総北を盛り上げるメンバーだ。
どこか影を背負い、ラストシーンでは衝撃的な次回作への余韻を残したメカニックの古賀公貴(輝馬)にも注目したい。ライバル校の箱根学園や京都伏見にも新たなメンバーたちが登場し、現在のペダステでは過去作からの継続キャストの方が少ない状況だ。
新生ハコガク&京伏の登場人物もチェック
また、今回はキャラクターヴィジュアルの再現度にも言及したい。ライバル校箱根学園の新エース・葦木場拓斗は、2m超の長身を誇る。そんな葦木場を演じる東 啓介は、2mまではいかないまでも187cmの長身俳優だ。
葦木場の長身のイメージを損なわないような絶妙なキャスト選出には、スタッフ側のこだわりが垣間見られる。
筋肉ムキムキの巨漢スプリンターであるハコガク新2年生の銅橋正清も、実力派俳優として知られる兼崎健太郎が演じているが、キャストが発表されたときには思わず「なるほど!」と納得しそうになるほど、個人的にはナイスキャスティングだったと思う。
銅橋独特の荒々しさとバイタリティが、舞台上からハミ出さんばかりに伝わってきた。
また、前作から続投の御堂筋翔(村田 充)の横に控える京伏の新一年生・岸神小鞠を演じる天羽尚吾の演技には、独特のヌラリとした色気があり、思わずゾクッとさせられた。
原作では「筋肉(ニク)」と連呼する変人の小鞠だが、今作でも怪しい存在感を際立たせており、個人的にはすでに次回作での活躍が気になるキャストとなっている。