日本に生まれたら3才くらいまでには自然に日本語を覚えていきます。でも、子どもの口から出てくる言葉が「マジ」「ヤバい」「超」の流行り言葉ばかりだったら、何だか心配になってきませんか?

子どもの語彙を豊かにするには、一体どうしたらよいのでしょう。

心と頭がすくすく育つ絵本の読み聞かせ』の著者の立石美津子がお伝えします。

なんでも「ヤバい」はちょっと残念…

©あべゆみこ

時代の流れとともに流行り言葉は変わっていきます。でも、日本語の基礎となる母国語を身に付ける乳幼児期に、出来れば美しい日本語を学ばせたいですね。

あるとき、テレビを見ていました。アイドルのタレント2人が観光名所を旅する番組でした。

一人は紅葉を見て「ヤバい」名所旧跡をまわり「ヤバい」、もう一人はお城を見て「マジ」、団子を食べて「マジ」。

「ヤバい」は不都合な状況を意味する形容詞や感嘆詞として、江戸時代から盗人や的屋の間で使われた言葉用語が一般化したものという説があります。また「マジ」は「真面目に、本気で」からきた言葉、いわゆる流行り言葉ですね。

美味しい料理を目にして「ヤバい」、道端で犬の糞を見かけても「ヤバい」で済ませる。

嬉しいも悲しいも可愛いも汚いも感動するときはなんでも「ヤバい」。表現能力に乏しいのはちょっと残念な気がします。

言葉遣いは幼い頃から染みつくもの

ある若者が就活していました。面接で聞かれた時の受け答えマニュアルを作成し必死で練習する毎日でした。

さて、面接の当日です。

面接官「○○さんの当社への志望動機を教えてください」

若者「私が御社を希望したのは…」

練習の成果でトレーニングしていた模範解答がスラスラと口をついて出てきました。けれども、次の瞬間、思いもよらぬ質問をされたのです。

「○○さんは芋虫を食べたことがありますか?私は食べたことがあります」

思わず若者が返した一言

「マジッスか!それってヤバくないですか?」

予期しない質問に普段の言葉使いが出てしまった若者でした。

服装、化粧、身だしなみなどの外見は付け焼刃的になんとか取り繕うことができます。でも言葉はそういう訳にはいきません。

「お里が知れる」という言葉もある通り、言葉遣いは幼い頃から染みついたもので、それが随所に出てくるからですね。