どうすれば良いのか。解決法は「絵本」

人間は言葉を本能として持って生まれてくる訳ではありません。既に胎児の頃から親の言葉を子宮内で聞いています。生まれてから毎日耳にしているのは、主に養育者である親が話す言葉なのです。

けれど「マジ、ヤバイ」を使わないようにしても、子どもに話しかける言葉は「早くしなさい」「ちょっと待ってて」などの日常会話の域を出ず、それ以上の言葉を話しかけることは、なかなか出来ません。

そこで、お助けツールがあります。それは“絵本”です。

子ども用の絵本でも決して親子の会話では交わされない言葉が結構使われているものです。

例えば

  • 眠り姫「美しいお姫様が眠っていました」
  • 大工と鬼六「突然、川から大きな鬼が表れました」
  • マッチ売りの少女「深々と雪が降る凍えるような寒さの中、マッチ売りの少女はかじかんだ手をさすりながらマッチを売り歩きました」
  • おおきなカブ「お爺さんはカブを抜こうと引っ張りました。うんとこしょ、どっこいしょ、ところがカブは抜けません」
  • ジャックと豆の木「そこで男の子は豆と鶏を交換してしまいました」

「美しい」の形容詞、「突然」などの副詞「ところが・そこで」などの接続詞など、親子の会話で交わされることはありません。でも、絵本の読み聞かせをされている子どもは親の口からは決して聞くことの出来ないこれらの言葉を自らの言葉として取り入れていきます。

道を歩いているとき「突然、犬が柱の陰から出てきてびっくりしちゃった」なんて言葉が出てくるのです。

寡黙な母親でも大丈夫

オムツを換えるとき「オムツ濡ちゃたね、綺麗にしようね」、おっぱいをやるときも「お腹空いたね、たくさん飲んでね」「汗かいたからお洋服を着替えようね」とまだ話ができない赤ちゃんにどんどん話しかけることの出来る母親がいる一方、黙って子どもの世話をする母親もいます。

話しかけた方がいいに決まっていますが、元々無口な人はわが子相手でもなんだか一人芝居のようで気恥ずかしくて、急にお喋りにはなれません。

そんな時も絵本が有効です。

だだ、書いてある文章を声に出して読んでやるだけ。これだったら、寡黙なママも簡単にできますよね。これで子どもは言葉のシャワーを浴びることができます。

あまりおしゃべりな母親の子どもではないのに、語彙が豊富な子どもがいます。絵本を読んでもらっている子どもです。

反対にお喋りな母親でも、その言葉が「マジ、ヤバイ、早くしなさい」ばかりですと、残念ながら語彙が豊かになることはありません。

時代がかわり言葉も変わります。「マジ、ヤバイ、超」を使うことで仲間意識はできるメリットもあります。ですから、これを「使ってはダメ」と禁止することはありません。

でも、豊かで緻密な言語能力のある人に育てるには是非、絵本を活用してくださいね。