仕事を棚卸してみると、自分にしかできない仕事、手放したい仕事が見えてくるはず
ーー帰宅してからご飯の準備をするのは慌ただしいから、保育園にいるときのテンションを維持したままで晩御飯を食べてくれたらすごく助かりますよね。
高田さんも子育てしながら会社勤めをしていた時代があったとのことですが、独立するってすごく大きな決断で、誰もができるわけではないと思うんです。そこを踏み切れたのはどういう心情だったのでしょうか。
高田:失敗してもどうにかなるはずだ、と思っていたのは大きいかもしれないですね。
今の女性たちは真面目な人が多いから、子育ても仕事も失敗しないことを美徳に向き合っているのかもしれないけど、100点満点を取ることにそんな大きな意味があるわけではないし、答案用紙を全て埋める必要もないって考えています。
ーー時短勤務していると、お給料が少なくなるとか、なかなかやりがいのある仕事ができないけど、フルタイム勤務するには時間の制約が、という声もよく聞きます。
余裕がないと、なかなかキャリアのことを考える時間も取れないですよね。
高田:忙しい中で何ができるか考えてみたとき、仕事の棚卸は重要なプロセスだと思います。
自分がいまやっている仕事を分類してみると、これは誰がやっても同じ仕事、これは手放したくない仕事や上司が「君にやってほしい」と思ってくれている仕事、っていうのが見えてくるんじゃないかと思うんです。
それが分かれば、フルタイムのお給料で時短勤務の交渉ができるかもしれないし、自分にしかできない仕事に絞れたら、それはサラリーマンでも独立するでも進め方はそう変わらないですから。
ーー自分の専門性や強みは何か分かれば、会社で働く以外の選択肢も見えてくる、ということですね。その上で独立するなら、マフィスやエミフィスのような受け皿もあるし…。
高田:会社に在籍しながらリモートワークもしやすくなるんじゃないかと思います。
ただし、リモートワークを推進しすぎることには一点だけデメリットがあります。それは横の絆が生まれなくなるということです。
そもそも、リモートワークは合理性を追求しているものですし、会話も発生しにくいですからね。
ーー効率のみを重視すればよいわけではないと。漠然と「リモートワークって良さそうだな~」と思われがちですが、そこは落とし穴ですね。
高田:オクシイでもバックオフィスのスタッフはほぼ全員リモートワークを利用していますが、対面でのコミュニケーションも大事にしたいので、ご家族やパートナーと一緒に参加してもらえる社内イベントを実施したり、泊まりでの研修プログラムも検討しています。
全ての企業がいま直面している課題だと思いますが、働きやすさを提供する分、会社に対する愛も深めてもらえるのが理想ですよね。
ーーそれが本当の働き方改革かもしれないですね。ありがとうございました!
【取材協力】高田麻衣子さん
1977年富山県生まれ。大阪市立大学生活科学部を卒業後、不動産ディベロッパーであるスペースデザインへ就職。その後、不動産会社トーセイに転職し、女性初の管理職を経験。2014年8月にオクシイ株式会社を設立。同年12月に保育サービス付きシェアオフィス「マフィス馬事公苑」を開業。2017年には2施設目を神奈川県・横濱元町に開設。
2018年3月にマフィス馬事公苑を移転する形で、「マフィス北参道」をオープン。2019年には「マフィス名古屋グローバルゲート」のオープンの他、エミフィス練馬の運営受託も行ない、企業のリモートワーク・フリーランス・起業・副業など、ライフスタイルの転換期に、働き方をシフトしたい人たちを支援している。