18年をかけて開発された「感性把握アルゴリズム」
体験を終えた後、脳波から人の気持ちを分析する「感性把握アルゴリズム」という手法を開発した慶應義塾大学准教授・満倉靖恵氏を取材した。
「脳波LOVEチェッカー」の仕組みは先ほど書いたように、脳波をとって感情を分析、それをBluetoothでスマートフォンに飛ばすというものだが、脳波から感情を分析するのは簡単なことではない。
満倉氏によると、脳波にはいろいろな要素があり、それらが複雑にからみあって感情を形作るとのことで、脳波から感情を把握する技術の開発になんと18年もの期間を費やしたという。
東京ゲームショウということもあり、どうしてもVRに目が言ってしまうが、実は「脳波LOVEチェッカー」の肝となるのは、この「感性把握アルゴリズム」なのだ。
もっとも、VRとの組み合わせで「感性把握アルゴリズム」の可能性が飛躍的に広がったことは事実。
たとえば恋愛シミュレーションゲームと組み合わせるとリアルな恋愛が擬似的に再現できるかもしれないし、ドライブシミュレーターと組み合わせれば飲酒運転や危険運転時の感情を解析して事故防止に役立てることができるかもしれない。
リアルな世界をバーチャルに作り出すVRと、人の感情を脳波から読み取る「感性把握アルゴリズム」の組み合わせは、あらゆる分野にイノベーションを起こす可能性があるのだ。
そんな実用例の一つとして、ブースで行われていたのが「Kaleidotherapy:カレイドセラピー」だ。先ほどと同じくデバイスを装着して「ストレス」と「興味」をチェック。映像を切り替えながら心の疲労を取るという試みである。
センサーやゴーグルなど専用のデバイスが必要なので一般化はまだ先のことだろうが、将来的にはこの技術によりストレスを減らせるようになるのかも?
そんな時代が待ち遠しい。