親が怒ることによって親子それぞれにどんなデメリットがある?

――怒られ続けた子どもが、そのような心理状態で過ごすことでどんな子どもに育つのでしょうか?

河村:家庭内ではリラックスできず、緊張しながら生きているので、家では良い子でいることが多いのですが、外で癇癪を起こしたりストレスを発散してしまう子が多いですね。

内弁慶という言葉がありますが、これは家では好き勝手にやっていても外ではおとなしい子のこと。家庭の中にいる親のことを信頼している状態なので、親は子どもに手を焼いていたとしても実は健全な状態と言えます。

怒られ続けた子どもは、その逆の状態になってしまうんですね。

あと、怒っている時の言葉ってどうしても「ダメ!」という否定の言葉が先立ってしまいますよね。

子どもはそれを「自分が今してしまった行為がダメ」と捉えるのではなく、「自分自身がダメ」と捉えてしまうのです。

親にそのつもりがなくても、常に自分自身が否定されていると捉えてしまうので、自己肯定感が低い子になってしまうのです……。

自己肯定感が高い子であればきちんと挨拶ができたり、謝ることができたり、そういったことが割と自然にできるようになりますが、自己肯定感が低い子は自分に自信がないので、自分の行動にも自信が持てず、なかなかやりたいことができないという子になってしまいます。

――子どもの自己肯定感にまで影響が出てきてしまうのですね。それでは、怒るという行為は親自身にはどういったデメリットがあるのでしょうか?

河村:親にとってのデメリット、となるとやはり子育ての軸がぶれてしまうというところですね。

子どもに対して怒ったあとや、子どもが寝ている姿を見て「あ~今日も怒っちゃったな……。私ってダメな母親……」みたいに反省してしまうことありますよね。これをまず止めた方が良いですね。

この瞬間、親自身が自分の子育てに対して自信をなくしてしまっている状態で、子育てに対する軸がぶれている状態なんですよ。

「きょうは怒ってしまったけど、うちの子なら大丈夫!」くらいに捉えている親の子どもは、「怒られちゃった〜!」という感じで同じようにケロッとしていることが多いのですが、子育てに対する軸がぶれて不安定な状態でいることは、子どもにも伝わってしまいます。

地面がグラグラした状態では、上手に走ったりジャンプしたりできませんよね? 同じように子育ての軸がぶれることは、子どもが育っていく基盤を不安定にしてしまうのです。

怒ってしまっても、「まぁうちの子なら大丈夫でしょ!」という心持ちでいることが大事ですね。