東京国際映画祭もいよいよ残り2日! コンペティション部門のノミネート作品全16作品の上映も全て終わったところで、各作品を見終えた観客の満足度ランキングベスト16を発表!
審査員の審査による「東京グランプリ」の行方も気になるが、実際に劇場に足を運んだ観客の評価は…?
【第16位】『浮き草たち』 満足度:67.3点
俳優:3.9
ストーリー:3.3
音楽:4.1
演出:3
『浮草たち』は東京国際映画祭のコンペティション部門には珍しいアメリカ映画。国際的な評価を集めるアダム・レオン監督による作品で、ある仕事を頼まれた主人公が、謎めいた事件に馬見込まれていくさまを描く。
スリラーにしてラブストーリーでもあり「犯罪ものですが軽快なライトコメディでもあり、テンポもよく、ボーイミーツガールの要素もあり面白い!」など、ジャンルをまたいでの展開力を高く評価する声が多く見られた。特に主人公と、彼が出会う謎の女に対し「さわやかな感じでよかった」「粗削りだけど、さわやか」「チャキチャキとした音楽に合わせて展開し行く感じがよかった」と青春映画として高評価を得ている。
ちなみに主人公を演じたカラム・ターナーはイギリス出身の26歳で、『グリーン・ルーム』など、日本でも公開予定の作品に多数出演しており、今後、注目を集めそうだ。
【第15位】『パリ・ピガール広場』 満足度:73.5点
俳優:4.4
ストーリー:3.4
音楽:3.9
演出:3.7
長年ヒップポップグループから影響を受けてきたラップグループが作った、現在のパリを象徴するリアルな人間模様。
「パリの移民生活がよくわかって楽しめた」「様々なバックグラウンドを持つ人々が描かれていて興味深かった」という意見が寄せられた。
主演のレダ・カテブは出演作が目白押しの実力派俳優。観た人からは演技の評価もやはり高かった。
【第14位】『誕生のゆくえ』 満足度:79.3
俳優:4.7
ストーリー:4.5
音楽:3.7
演出:4.2
「静かな怒りと強烈な愛に溢れた普遍的な物語」と言った感想が寄せられた本作は、中絶をテーマに映画監督の夫と舞台女優の“夫婦の選択の行方”を描いたヒューマンドラマ。
「現代のイラン社会を冷静に描いていて、勉強になった」「夫婦の意見の相違を通して、人として家族としてどう捉えるべきか考えさせられた」といった意見から、観るものに深い考察を与えた作品だったようだ。
【第13位】『ブルーム・オヴ・イエスタデイ』 満足度:79.7点
俳優:4.2
ストーリー:4.3
音楽:4.2
演出:3.8
第6位は日本でもヒットを記録した『4分間のピアニスト』にて、獄中の天才ピアニスト少女と戦中の辛い記憶を抱える老女の交流を描いたクリス・クラウス監督の『ブルーム・オヴ・イエスタディ』で『4分間の…』と同様にホロコーストを題材にしつつもユーモアあふれるラブストーリーに昇華させている。
ホロコーストのイベントを企画するも、強引さゆえに担当を外された男性が風変わりなフランス人の女性と独自に準備を進めるが、そこで意外な事実が…。
ビジュアルや短いあらすじからは、なかなか展開の読みづらい物語だが、見終えた観客の評価では、ストーリーが平均4.3点と高得点を記録し、俳優、音楽も平均4.2点と高水準。
主演ラース・アイディンガー、共演のアデル・ハネルは、日本での知名度はまだまだ高くはないが、本場欧州では国境を超えて活躍する売れっ子である。特にハネルはダルデンヌ兄弟の新作でヒロインを演じ、カンヌでも注目を浴びた気鋭の存在であり、今後、日本でもファンが増えそう。
作品自体も女性を中心に幅広い年齢層が鑑賞しており、良質な欧州映画として安定した高い評価を得たと言える。
【第12位】『私に構わないで』 満足度:80点
俳優:4.5
ストーリー:3.8
音楽:3.8
演出:4.1
クロアチア有数の観光地ダルマチア地方を舞台に、その華やかな光と対比するように、狭く窮屈で雑然として住まいに暮らす家族に焦点を当てたドラマ。
不幸ではないが、決して幸せではない内向的なヒロインが捉えた、家族の理想の形とは…。主演のミア・ペトリチェヴィッチは全く演技経験がないにも関わらず、抑圧された内向的な女性を見事に具現化。その自然な演技に高評価が集まった。
【第11位】『シェッド・スキン・パパ』 満足度:80.8点
俳優:4.6
ストーリー:4.3
音楽:4.2
演出:4.1
同率の第4位には、日本の劇作家・佃典彦の戯曲を原作にした香港発の感動コメディ『シェッド・スキン・パパ』が入っており、質の高い作品群の中でキッチリと平均80点超えを達成。
主人公が映画監督として挫折し、借金と離婚問題に頭を悩ませる一方で、老いた父が“脱皮”して若返るという奇想天外な物語が展開。香港の歴史を織り交ぜるなど、日本の原作から新たな作品へと“脱皮”を遂げている。
シュールな展開を愛の物語へと着地させている、演劇畑出身のロイ・シートウ監督の手腕を評価する声が高く「ユニークな演出が面白い」「笑って泣ける作品になっていた」との声が寄せられている。
またこの演出に見事に応え、存在感を放っているキャスト陣への称賛も多数で「俳優」に関しては上位2作の上を行く平均4.6点を記録!
特にW主演のひとり、フランシス・ンに絶賛の声が集まっており、主演男優賞も期待できそうだ。