アテネ、北京、ロンドンとオリンピックでの金メダル三連覇を成し遂げた吉田沙保里さん。この日本において「最強といえば?」なんて質問をしたら、ほとんどの人が彼女の名前を挙げるのではないでしょうか?
個人戦ではなんと206連勝という驚異的な記録を持つ吉田沙保里さんですが、その親しみやすいキャラクターも人気を博す理由の一つ。
しかし、そんな吉田沙保里さんの強さやそのキャラクターは、彼女一人で築き上げたものではないようです。
そこで今回は、『泣かないで、沙保里: 負けても克つ子の育て方』から、吉田沙保里さんの戦いを支え続けたお母様の言葉を紹介します。
もしも、自分の子どもの心が折れそうになった時、プレッシャーに押しつぶされそうになった時、どんな言葉をかけますか?
この本にはそんな時に、ママたちにヒントをくれるエピソードが数多く収められています。
1: “やらされている”そんな気持ちの時は…
今でこそレスリングの連勝記録を持ち、オリンピック三連覇を成し遂げた吉田沙保里さんですが、やはり小さな頃は「レスリングをやらされている」「皆と一緒に遊びたい」そんな気持ちがあったのではないでしょうか。
お母様はそんな吉田さんの様子を感じ取って、常に
「いいことがあったら苦しいことがあり、苦しいことがあったらいいことがある。その繰り返しよ。」出典(『泣かないで、沙保里: 負けても克つ子の育て方』著・吉田幸代)
そう繰り返し話していたそうです。
ぐずぐず悩んでいても、前を向いていても、一日の長さは同じ。そんな考え方からお母様は吉田さんにそう伝えていたのだそうです。
苦しさを受け入れることは大人でも難しいことです。いざという時のために、人生には苦しさがつきものであることを常に子どもに伝えて行くことが大切なのかもしれません。
2: 本当に辞めたい? そう思ったら
子どもが衝動的に「習い事を辞めたい」そう口にすることはありませんか?
普段見ていても楽しそうに習い事をしているのに、少し気に意に沿わないことが起こってこう子どもが発言してしまった時、頭ごなしに「辞めるのはダメ!」と口に出すことを躊躇する人は多いはず。
吉田さんも大学に入り、これまでと環境が違うレスリング部に「大学を辞めたい」と発言したことがあったそうです。
その時、お母様は、
「お父さんに聞いてみなさい」
出典(『泣かないで、沙保里: 負けても克つ子の育て方』著・吉田幸代)
そう答えたそうです。
父親相手には言えないと分かっていてそう伝えたそうですが、吉田さんはその後、大学を辞めることなくレスリングを続けたそうです。
もちろん、本当に辛い時に寄り添って話を聞く、決断を受け入れることは大切ですが、一度、子どもの頭の中に一息つかせる言葉を投げかけるのも親の役目なのかもしれません。
しかし、お母様はこの本の中で「最終的に将来を決めるのは、本人」であるとも語っています。その信頼感が、辛い時期の吉田さんを支えてくれたのかもしれませんね。