『おうちに帰りたい』(『この素晴らしい世界に祝福を!2』)

昨年放映されたアニメ作品の中でも、ダークホース的なポジションから一躍、大ヒット作となった作品が『このすば』こと、『この素晴らしい世界に祝福を!』です。

2016年の年明け早々に一大旋風を巻き起こした、あの衝撃から一年、『この素晴らしい世界に祝福を!2』という、これ以上ない程にシンプルな改題のもと、アクアやカズマたちお騒がせパーティが皆の前に帰ってきました。

引き算は勿論のこと、余計な足し算も無用とばかりに、前作と同じく、どこか人を食ったようなユーモアによる脱臼ファンタジーが展開されるストーリーと同様に、主題歌も前作の担当アーティストがそのままスライドする形が取られています。

エンディング曲の『おうちに帰りたい』は、前シリーズのエンディングとして使用された名曲『ちいさな冒険者』と同じく、クリエイターにアコースティックデュオ「ハンバート ハンバート」の佐藤良成さんを招いた楽曲。歌唱は、主要キャストの雨宮天さん、高橋李依さん、茅野愛衣さんがキャラクター名義で担当しています。

佐藤さんが作り出す、極々、素朴なアコースティックサウンドに乗せて描かれるのは、幼少期の記憶を掘り起こすノスタルジックな情景。

弦楽器の運指で生じる僅かな音の軋みすら感じられるかのようなシンプルな音の構成に加えて、ヴォーカルを務める3人がメロディを丁寧に拾いながら、純朴な歌声で紡ぎ出す歌詞世界が、どうしょうもない程に聴き手の郷愁を誘います。

『ちいさな冒険者』では、アイリッシュトラッドミュージックに根差したサウンドを聴かせてくれましたが、続く『おうちに帰りたい』では、更に、その構成はミニマムなものに。朴訥とした温もりのある音が歌を包み込み、まるで童謡を思わせるかのような普遍的でトラディショナルなフィーリングを生み出しています。

ハードなバンドサウンドや、バキバキした質感の電子音を駆使したエレクトリックミュージックから影響を受けたラウドなアニソンも刺激的ですが、その一方で、この曲のようにアコースティックな音で聴かせてくれる楽曲もやはり大いに心を震わせてくれます。

『go to Romance>>>>>』(『うらら迷路帖』)

『うらら迷路帖』のエンディング曲である『go to Romance>>>>>』は、新進気鋭のアイドルユニット、「Luce Twinkle Wink☆」(ルーチェ・トゥインクル・ウィンク)による楽曲。

メジャーデビュー後、三枚目となるシングルであり、前シングルの『1st Love Story』(『ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?』オープニング主題歌)に続く、アニメ作品へのタイアップ第二弾となるナンバーです。

Luce Twinkle Wink☆は、メジャーデビュー前から、アニメ『ブラック・ブレット』に登場する劇中アイドルユニット「天誅ガールズ」として、「Animelo Summer Live」への出演を果たすなど、元々、アニメ作品との距離が近しいアイドルユニットです。それ故に、各リリース曲のタイアップに関しても聴き手に違和感を抱かせない親和性の高さがあります。

今回の曲に関しても、ガーリッシュでポップ・フィーリングがフワリと弾ける歌声が、『うらら迷路帖』に、ひたむきな愛らしさを加えています。

アニメファンにはお馴染みの作詞家であるくまのきよみさんの歌詞と、アニメ作品からJ-POPアーティストまで、幅広い曲提供を行なう大隅知宇さん(元UNDER THE COUNTER)によるメロディも、それぞれ職人気質なクリエイティビティを感じさせる「良い仕事」で、彼女たちのパフォーマンスを後押ししており、リリックと音にも是非とも耳を傾けていただきたいところです。

アニメ版では、SDキャラクターがチョコマカと動き回るアニメーションも目を楽しませてくれましたが、一方で、「実写版」であるMVでは、このグループにとっての大きな武器であるシンクロ率の高いキレのあるダンスを目にすることができます。